【レポート】FOOD MADE GOOD フィールドワーク in いすみ
SRAジャパンが取り組む千葉県いすみ市の自然栽培の田んぼ「FOOD MADE GOOD Regenerative Ricefield(SRA田んぼ)」が、初めての実りの時を迎えました。
そこで、2026年8月24日(月)、SRAジャパンメンバーと、加盟店のスタッフと共同での初めての収穫作業となる「FOOD MADE GOOD フィールドワーク in いすみ」を開催しました。
千葉県は前日の大雨で、電車が運休になっており、無事に辿り着けるのか直前までやきもきしましたが、当日は驚くような晴天と暑さ! 東京、神奈川、埼玉、長野、大阪といった各地からメンバーが集結。まずは、このプログラムをご指導をいただいている、つるかめ農園の鶴渕真一さんより、段取りの説明がありました。日差しが強く、聞いているそばから背中を汗が流るほど気温も高まってきます。
みんなで歩いて田んぼに向かいます。持っているのは、大量の水やお茶。熱中症が心配されるほどの暑さ。農家さんの過酷さを作業が始まる前から感じます。
ついに到着しました、SRA田んぼです。無肥料、無農薬、何も追加することなく自然由来の力だけで米を育てる自然栽培米です。じっくり自分の力で育つ分、稲は虫や病気の影響を受けにくくたくましく育つと言われています。
いよいよ段取りを確認して、作業です!
田んぼの畦に生えている葦が、田んぼの中に入り込んでいるものをカマで刈り取ります。このままにしておくと、コンバインをかけた時に詰まってしまうため、取り除く必要があるそうです。簡単そうな作業に思いましたが、腰をかがめてカマを使うのは結構重労働。今回は大人数で取り組みましたが、これが一人や二人で行うとなると、なんと大変な作業でしょうか。
ある程度下準備のできたところで、鶴渕さんのコンバインが出動。稲はあっというまに刈り倒され、稲わらが短く切断されて落ちてきます。稲わらは貴重な有機質資源です。土に漉き込まれることで、土壌微生物が増えて土が豊かになるそうです。
今回のプログラムは、単なる「稲刈り体験」ではなく、生産現場を訪れ、プロの農家さんの実際の作業の現場を見るという目的があるため、機械で行うところはしっかり機械で行います。
稲刈りが済んだら、脱穀です。みるみるうちに軽トラックに籾が積み上がっていきます。
途中、コンバインが詰まり、鶴渕さんが手作業で詰まりを改善。作業が少し中断しましたが、時間通りに終了。
すっきり晴れやかな気持ちになります。
稲刈り、脱穀のあとは乾燥です。母屋に戻り、軽トラックから直接連結されたのは、巨大な穀物専用乾燥機。収穫したばかりの籾は、水分が多くふくまれているので、このまま保管するとカビが生えてしまいますので、すぐに乾燥機にかけられます。
午前の作業のあとは、鶴渕さんを囲んだお話の時間。
鶴渕さんからは、なぜ自然栽培に取り組むのかといった経緯につながるお話から、今の農家や農業全体が直面する課題、自然災害、米の価格の決定など、多岐にわたるお話をうかがいました。
お世話になった、つるかめ農園の鶴渕さん。
今回、鶴渕さんのお話を伺い感じたことは、米農家がかかえる課題が多岐にわたるということです。なかでも、特に大きいと感じたのが、経営の不安定さです。
米の価格は買い取り時になるまでわからず、生産者自身が自由に値付けできるわけではありません。また、かつては多くの人手を必要とする労働集約型の産業でしたが、現在は少人数で農作業を担うため、農業機械などへの多額の設備投資が欠かせません。資材や燃料などのコストもかかります。
これだけの時間と労力、費用をかけて米をつくっても、最後に農家の手元に残る利益がいかに少ないか。その現実を直接耳にすることができました。
では、消費者に直接販売すればよいのかというと、それも簡単ではありません。販売、発送、顧客対応といった付随業務に加え、情報発信やブランディング、マーケティングなど、生産とは異なるスキルが必要になります。当然、そこにも時間とコストがかかります。
そのほか、今回、鶴渕さんのお話を伺って特に印象に残った言葉があります。
「この美しい日本の里山の風景を守りたい。」
それは、農家が担っているのは、単に「米を生産すること」だけではないということです。在来種の種をつなぐこと。美しい水田を維持すること。農地が耕作放棄地になることを防ぎ、里山の景観を守ること。そして、地域の自然や文化を次の世代へつないでいくこと。農薬や化学肥料に頼らない農法に取り組む農家であれば、生産活動そのものが環境への負荷を抑え、水田を取り巻く生態系や地域環境を守ることにもつながっています。
つまり私たちが農家から受け取っているものは、「お米」だけではないということです。
景観、生物多様性、地域文化、農地の維持、そして次世代へつながる種や農業の知恵。
鶴渕さんは、米づくりを通してこれらを未来に繋げたいとお話されました。
こうした、いわば地域のインフラを支える役割まで農家が担っているにもかかわらず、その価値への対価が、現在の米の価格に十分に含まれているとは言い難いのではないでしょうか。
だからこそ、こうした米づくりを続ける農家に対して、飲食業だからこそできることを整理してみたいと思います。
まず考えたいのが、適正な価格で継続的に購入することです。
単発で「応援のために買う」のではなく、年間を通じて必要な量を伝え、できるだけ安定した価格で、単年でなく、継続的に購入する。いつどのくらいの量を購入するかということは、在庫を農家が持つか、飲食店が持つかということであり、とても難しいポイントになると思いますが、検討はできるのではないでしょうか。
さらに、米そのものだけではなく、農家が生み出している環境価値にも目を向け、その価値を価格や取引のなかで評価することができると良いと思います。
そして飲食店には、もう一つ大きな役割があります。
それは、農家の取り組みや米づくりの背景を、料理を通して消費者に伝えることです。
「誰がつくった米なのか」だけではなく、その田んぼが地域の環境や景観をどのように支えているのか。なぜこの米を選び、この価格で提供しているのか。料理人やサービススタッフが自分たちの言葉で伝えることで、消費者が米の本当の価値を知るきっかけをつくることができます。だからこそ、料理人と農家が直接つながり、対話を重ねることで見えてくるものがあるように思えます。
「米を卸業者から仕入れる」から、「顔の見える農家から米を買う」という関係に。そして、「農家とともに、地域の農業や環境を支える」というパートナーになることができないでしょうか。
今回の訪問をきっかけに、農家と飲食業がどのような関係を築くことができるのか、具体的なアクションを考え、提案していければとあらためて思いました。田んぼの活動に関心のある飲食関係の方は、ご一緒しませんか?いつでもSRAジャパンにご連絡ください。お待ちしております。
つるかめ農園
千葉県いすみ市深谷348
https://www.tsurukamefarm.com/

























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