SRA「Food Made Good スタンダード」2027年版を発表

SRA「Food Made Good スタンダード」2027年版を発表

ホスピタリティ業界における世界有数のサステナビリティ評価「Food Made Good スタンダード」の重要なアップデート

ロンドン、2026年10月5日:The Sustainable Restaurant Association(The SRA)は、ホスピタリティ業界向けの主力サステナビリティ認証「Food Made Good スタンダード」の新版を発表しました。

今回の新版は、スタンダードの大規模な見直しを経たものです。EUの新たなグリーンウォッシュ規制であるECGT指令への準拠の確保、世界50人の専門家の意見を取り入れた設問の改善、スコアリング方法の更新などが含まれます。これらの変更は、ホスピタリティ業界が2027年に向かう中で、Food Made Goodが厳格かつ時代に即した、目的に適うものであり続け、世界中の事業者のサステナビリティの歩みを引き続き支えられるようにすることを目的としています。

SRAが創設し、2010年から運用されているFood Made Good スタンダードは、世界的に認められたサステナビリティ認証です。ファインダイニングやグローバルホテルブランドから、地域の居心地の良いパブ、カジュアルな飲食店、空港ラウンジ、鉄道網、カフェ、ケータリング、映画館まで、あらゆる規模・業態のホスピタリティ事業者が対象です。現在、世界50の国と地域の事業者が利用しており、飲食事業者が自らのサステナビリティの取り組みを測定し、改善できるよう設計されています。意図よりも行動を重視し、厳格な裏付け資料を求め、透明性を推進することで、業界全体にポジティブな変化をもたらしています。

なぜアップデートするのか?

Food Made Goodは、サステナビリティはゴールではなく旅である、という考えに基づいて生まれました。スタンダードは16年以上にわたり飲食業界の行動を後押ししてきており、2023年には初のグローバル版が発表されました。スタンダードが有効に機能し続けている理由は、常に進化し続けていることにあります。SRAは3年ごとにFood Made Good スタンダードを大規模に見直し、最新の社会・環境研究、政策や規制、そして多様でグローバルなホスピタリティ業界のニーズと実情を反映させています。

EUが、曖昧または誤解を招く環境・社会的な主張から消費者を守るための「グリーン移行に向けた消費者のエンパワーメント指令」(ECGTまたは「EmpCo」とも呼ばれる)を導入したことからも、今回のアップデートは時宜を得たものでした。今回の改訂により、スタンダードは認証制度としてのECGTの要件を満たし、飲食事業者にとって実践的な支えであり続けることができます。

SRAのCEO、ジュリアン・カイユエット・ノーブルは次のように述べています。「飲食事業者が日々行う選択は、自らの事業の枠をはるかに超えて影響を及ぼします。グローバルなサプライチェーンを形づくり、食べ物がどのように育てられ、獲られ、生産されるかに影響し、そのシステム全体で働く人々にも影響を与え、自然界への影響を左右します。業界への期待も変化しています。ごく地域的な食文化の保護を軸にラグジュアリーを再定義しようとする声から、チームを大切にすることの基準を大きく引き上げる大規模事業者まで。そして、慣習に挑み、より良い働き方を切り開いている事業者がいるなら、スタンダードはその進歩も評価しなければなりません。

「この1年間、SRAは世界中のさまざまな分野の専門家を集め、Food Made Good フレームワークに疑問を投げかけ、磨き上げてきました。現場で起きていること、そして事業者が次に取り組むべきことを反映させるためです。私たちの役割は、その知見を事業者が使えるものに変えることです。適切な問いを投げかけ、業態や規模にかかわらず、地域に即した実行可能なアクションを提示する。そうやって個々の行動が集団としての影響力となり、最終的にはより広い変化につながっていくのです」

専門家の知見

過去18か月間にわたり、フレームワーク、設問、スコアリング方法は世界中のさまざまな専門家によって徹底的に見直され、Food Made Goodが飲食業界のゴールドスタンダードとなる認証であり続けることが確認されました。

この意見聴取には、幅広い国や文化の視点が反映されており、世界中から50人以上の専門家が参加しました。参加者には、持続可能なフードシステム、ホスピタリティ、公正な取引慣行と労使関係、環境影響を専門とする研究者、主要NGO、業界の専門家、ほかのサステナビリティプログラムや認証制度、そしてSRAのグローバルパートナーが含まれます。特に、Green Dining Guide(台湾)、SRA-Japan、Circular Hospitality Australiaが参加しました。

このように幅広い参加者が関わったことで、Food Made Goodは包括的で厳格なだけでなく、世界の多様な文化や背景からの視点と知見を取り入れたものになりました。これによりバイアスや見落としを避けつつ、さまざまな地域、ビジネスモデル、事業規模において、フレームワークが最大限機能するようになっています。

Coffee Watchのディレクター、エテル・イゴネ氏は意見聴取について次のように語っています。「このようなサステナビリティ・スタンダードは、レストランをはじめとするホスピタリティの主要なプレーヤーにとって大きな価値があると考え、参加しました。レストランの経営は非常に大変です。コーヒーを倫理的なものにするといった難しい問題について、忙しい業界の人々が迅速かつ明確な指針を得られることは大きな助けになります。ホスピタリティ業界で、森林破壊や児童労働に関わるコーヒーを出したい人などいません。しかし、正しい行動を具体的にどう取るかは複雑です。SRAがそこを支援できるのは素晴らしいことです」

Smartfish ACのコラボレーション&パートナーシップ・リード、クリスティーナ・リベラーティ氏は次のように述べています。「改訂版スタンダードの意見聴取に協力するよう依頼されたことを光栄に思います。メキシコの小規模漁業コミュニティと直接現場で活動する私たちの組織の視点を共有することができました。サステナビリティ向上を意図していても、スタンダードはしばしば職人的・小規模な生産者に不利になったり、彼らを排除したりしがちです。Food Made Goodが公平性を重視し、フードサプライチェーンに関わるすべての人を考慮していることを称賛します」

Zero Foodprint Asiaのパートナーシップ・ディレクター、ジョエル・トーマス氏は次のように述べています。「栄養があり責任を持って生産された食べ物をより身近にするという同じ目標に向かう、志を同じくする組織と連携することは重要だと考えています。農家とシェフは本質的につながっており、Food Made Goodのようなスタンダードは、ホスピタリティ事業者が食べ物の出どころをより深く理解し、情報に基づいたより良い選択をする助けになります」

スコアリングと評価方法

スタンダードが扱うテーマに大きな変更はありませんが、今回の専門家による意見聴取は、更新されたスコアリング方法の改善と検証に役立ち、ホスピタリティ事業者にとって最も重要な課題をより重視するものになりました。また、さまざまな業態や規模の事業者により適したものになるよう設問とスコアリングが調整され、特定の重点分野における卓越した取り組みと業界でのリーダーシップを評価する新たなラベル「Highly Commended」も設けられました。

すべてのFMG申請は、体系的な審査プロセスを経ます。EUの事業者については、第三者監査パートナーであるIntertekによる追加の書類審査を導入します。EU事業者の認証の判断(認証取得の可否とスコア)は、SRAのチームではなく監査機関が行います。これにより、第三者検証に関するECGTの要件を満たす認証プロセスとなります。

利用体験の向上

SRAのチームは、Food Made Good スタンダードの申請体験全体を向上させるための改善も行いました。たとえば、事業者がポジティブな影響を生み出す道筋は数多くあることを踏まえ、設問全体に新たな選択肢を加え、世界中の現場で行われている多様な行動や取り組みをより的確に把握できるようにしました。

Food Made Goodのオンラインプラットフォームも全面的にリニューアル中で、申請プロセスが大幅に使いやすく直感的になります。1月以降、すべてのアカウントが新プラットフォームに移行します。

Food Made Good Global V2は2027年1月から適用されます。EUの事業者については、ECGT要件への準拠を支援するため、2026年9月末から新しい設問が導入されています。現在有効なFood Made Good認証を保有するすべての事業者は、次回の審査サイクルで新しい設問に基づいて評価されます。

ホスピタリティ業界を通じてサステナビリティを推進する

SRAは引き続き、環境を再生し社会を前進させる方針や取り組みを、先進的な事業者にとってより実現しやすいものにし、世界中で活力があり、レジリエントで、未来に適したホスピタリティ業界づくりを支援していきます。

Food Made Goodのような、確かな根拠に基づき行動を重視したフレームワークは、明確さ、運用上の指針、外部への説明責任、そして共通言語を提供し、法的要件を満たすと同時に、事業者が単なる法令遵守を超えて進むことを後押しします。今回のFood Made Good スタンダードの新版により、スタンダードは世界中のホスピタリティ事業者にとって引き続き有用なツールとなり、説明責任、透明性、意味のある行動がより求められる新たな時代へと進む業界を支えていきます。


本記事は、The Sustainable Restaurant Association(英国)の記事「Announcing the New 2027 Edition of The SRA’s Food Made Good Standard」(2026年10月5日、Jocelyn Doyle著)を翻訳したものです。

         

         

 

FOOD MADE GOOD フィールドワーク in 船橋開催レポート

FOOD MADE GOOD フィールドワーク in 船橋開催レポート

2026年10月8日、SRAジャパンは、千葉県船橋市の海光物産株式会社のご協力のもと、東京湾の漁業について学ぶ「FOOD MADE GOOD フィールドワーク in 船橋」を開催しました。

今回のフィールドワークのきっかけとなったのは、2026年4月、SRAジャパンの生産者パートナーである海光物産の大野和彦社長が取り組むクラウドファンディングのプロジェクトに、SRAジャパン代表の下田屋が参加したことでした。

プロジェクトのテーマは、「地元の漁業を守り、コノシロの絵本を作り、子どもたちに自分らしく生きることの大切さを伝えること」。

「孫が生まれたことがきっかけ。子どもたちに、豊かで明るい未来を残してやりたい」大野社長は優しい笑顔で語ります。

海光物産は、「瞬〆すずき」や「さわらの神」などのブランド化を進め、全国の有名ホテルや飲食店に海産物を届けている水産会社です。また、東京湾の水産資源を次世代に残すため、資源管理に取り組み、持続可能な漁業の実現に向けて、さまざまな活動や働きかけを行う、サステナビリティを重視した先進的な取り組みを展開しています。

今回のフィールドワークの目的は、江戸前の豊かな水産資源と漁業を未来につなぐために、海光物産がどのような取り組みを行っているのか、実際の漁業の現場を訪ね、体験を通じて学ぶことでした。

なぜコノシロなのか

コノシロは、江戸前寿司の人気のネタである「コハダ」の成魚の名前で、イワシと同じニシン目ニシン科の魚です。成長に伴って呼び名が変わる出世魚として知られ、幼魚のシンコは、旬の夏には1キロ当たり数万円の値がつくこともある高級魚です。若魚のコハダも1キロ当たり数千円で取引される一方、成魚のコノシロになると、小骨が多く調理に手間がかかることなどから需要が限られ、1キロ当たり数十円程度にしかならないこともあるそうです。そのため、低利用魚とされています。

スズキのブランド化を進める海光物産が、なぜコノシロ漁にも力を注ぐのでしょうか。

東京湾の特徴

その背景を理解するために、まずは船橋漁港から見た東京湾の地形を確認してみます。

地図の赤い丸印が、今回の出発地点となった船橋漁港です。

船橋市を中心に一体に広がるこのあたりの浅瀬は「三番瀬(さんばんぜ)」と呼ばれ、古来から多様な生き物が生息する豊かな海域として知られています。東京湾は、江戸前寿司に代表される江戸の食文化を支えてきた海でもあります。なかでもコハダは、冷蔵技術がなかった時代に、酢で締めることで保存性を高めた、江戸前寿司を代表する魚のひとつです。

東京湾には、多摩川、荒川、隅田川、江戸川など、多くの河川が流れ込み、陸域からさまざまな栄養分が運ばれてきます。こうした栄養分が、東京湾の豊かな生態系を支える要因のひとつとなっています。

そのため、この海域は水深が浅く、河川から運ばれた土砂が堆積する場所でもあります。海上では、海底にたまった土砂を取り除く作業船も見られました。船舶の航行に必要な水深を確保し、座礁を防ぐための作業とのことで、東京湾で見られる独特の光景だそうです。

この漁が行われているのは、こうした閉鎖性が高く水深が浅い海域です。沿岸の多くは埋め立てや開発によって人工的な護岸となり、商業施設や工業地帯が広がっています。都市活動や工場排水などが海の環境に与える影響も気になるところですが、国や自治体による排水規制など、さまざまな対策が講じられ、水質は保たれているのだといいます。

船は船橋漁港を出発し、左手に陸地を見ながら千葉方面へと向かいました。航路は岸からわずか数百メートルほどしか離れておらず、都市のすぐそばに漁場が広がっていることがわかります。

地図の矢印の方向へ進み、約1時間で漁場に到着しました。地図上では、長方形で赤く示したあたりです。

そして巻き網漁の現場へ

そして、巻き網漁船と合流。まき網漁法は、1隻の網船が中心となって円を描くように網を投入する1隻巻き(いっそうまき)と、2隻の漁船が息を合わせ、ひとつの大きな網で魚群を囲い込む2隻巻き(にそうまき)の2通りの方法があり、海光物産が行うのは2隻巻きです。さらに、パワーのあるエンジンを詰んだ小さな補助船(デブネ・伝馬船・テンマなどど呼ばれる)が、2隻の位置を修正したり、全ての業務を効率よく、迅速に行えるよう、調整している様子も見ることができました。

巻き網漁は、魚の群れを見つけ、その周囲に網を展開して漁獲する漁法です。遠くから見ると、直径百メートル以上の巨大な網が海面に広がっている様子が、はっきりとわかります。写真の赤い線で囲んだ部分が、その網です。

魚は昼夜で行動を変え、日中に群れを形成して活動する魚種も多いそうです。漁師たちは魚の習性や潮の流れなどを見極めながら、魚群を探して網をかけていきます。

続いて、2隻の漁船は、互いの動きを合わせながら徐々に距離を縮め、きんちゃく袋のひもをしばるような要領で、網を少しずつ手繰り寄せるように巻き上げていきます。海鳥が海面に浮かんでくる魚を狙って集まってきています。

2隻の漁船がさらに距離を縮めると、網の中に集められた魚が海面に姿を現し始めました。

そこへ3隻目となる、私たちが乗船していた「運搬船」が横付けされました。運搬船と漁船をロープでつなぎ、3隻が一体となって、網の中の魚をすくい上げる作業が始まりました。

運搬船に次々と引き上げられる魚たち。そのほとんどはコノシロですが、網を引き上げるたびに、数匹のスズキやクロダイも混ざっていました。

スズキとクロダイは手作業で選別され、生きたまま船内の生簀へ移されます。一方、コノシロは氷水を張った船底の貯蔵庫に収められていきます。

この作業は、網の中の魚を引き上げ終えるまで何度も繰り返されます。最後には、エイやサメなど、食用としての流通が限られる魚種も見られました。これらは一度船上に引き上げられた後、船体側面の排出口から海へと戻されていました。

巻き網漁は、魚群を効率よく漁獲できる一方で、対象とする魚以外の生き物を捕獲する「混獲」や、過剰漁獲のリスクもある漁法とされています。今回の見学でも、サメやエイが混獲されていましたが、速やかに放流される様子を確認することができました。

海光物産では、こうした巻き網漁の課題を回避するために、漁獲量や混獲魚種の記録、産卵期の魚をとらないことや、不要な漁獲物の放流なども行い、漁業を資源の確保の面から持続可能なものにすることを実践しています。

漁港での水揚げ

漁を終えて港に戻ると、水揚げ作業が始まります。氷水で冷やされたコノシロは、そのままコンテナへと移されていきました。

大野社長によると、取引先の冷凍加工会社では、1回当たり40トンの受け入れ体制があるため、その処理能力に合わせて漁獲量を調整しているそうです。受け入れ能力がさらに大きければ、さらに多く漁獲することも技術的には可能とのことでした。

一度の操業で大量の魚を漁獲できる巻き網漁の特徴を知ると同時に、漁獲能力の高さゆえに、資源の状態を把握し、適切な漁獲量を管理することの重要性も見えてきます。また東京湾の食資源の可能性も知ることができました。

一方、スズキは生きたまま海水を満たした生簀へと移されます。

ここから、漁師のみなさんが生簀のまわりに出刃包丁を持って集まり、鮮度を保つための処理が始まります。まず、尾の付け根とエラの部分に包丁を入れ、氷水の中で血抜きを行います。血を適切に取り除くことで、魚の臭みや品質の低下を抑えることができます。

約20分間、氷水の中で血抜きをした後、次の工程である神経締めへと進みます。

数百匹ものスズキが、スピーディに処理されていく様子は圧巻でした。巻き網漁での操業から、水揚げ後の鮮度管理に至るまで、漁師のみなさんの熟練した技術と、信頼関係にもとづくチームワークが、魚の品質を支えていることがよくわかります。

コノシロの可能性

海光物産の大野社長は、コノシロの可能性について、次のように語ります。

「コノシロは、東京湾の貴重な資源です。骨が多くて食べにくいため、一般家庭や飲食店ではあまり利用されず、漁業用の餌などとして、1キロ当たり数十円程度の価格しかつきませんでした。

それが、加工や流通の工夫によって、最近では100円程度まで上がってきました。さらに価値を高めることができれば、漁師は全体の魚を獲る量を減らしても、収入を確保できるようになります。

また、地元の子どもたちに学校給食を通じてコノシロを食べてもらうための活動にも取り組んでいます。コノシロの安定的な需要を生み出すとともに、子どもたちに自分たちが暮らす地域の海や漁業について、もっと知ってもらいたい。そんな思いから、行政にも働きかけながら、志を同じくする仲間たちと活動を進めています。

コノシロの価値が上がれば、漁師の収入も上がります。今は漁師になりたいという若者が減っていますが、収入が安定すれば、漁業を志す人も増えるかもしれません。それは、江戸前の伝統的な食文化を守ることにも、地域の食料供給を支えることにもつながります。

だからこそ、コノシロの活用に取り組むことには、大きな意義があるのです」

千葉県は、全国有数のスズキの産地として知られています。なかでも船橋は全国トップクラスの漁獲量を誇り、船橋産のスズキは市場でも高く評価され、地域の漁業者にとって重要な収入源となっています。

しかし、高い値がつく魚ばかりを狙い、過剰に漁獲することになれば、将来の水産資源に影響を及ぼす可能性があります。

そこで重要になるのが、コノシロの価値を高め、有効活用していくという考え方です。

これまで十分に食用として利用されてこなかったコノシロに新たな需要を生み出すことは、漁業者の収入源を多様化し、スズキなど特定の魚種への漁獲集中を抑えることにもつながる可能性があります。

ここにあるのは、単に「未利用魚 / 低利用魚を活用することがサステナブル」という考え方ではありません。

海の生態系を守り、漁業者の暮らしを支え、地域の食文化を次世代へつなぐ。そのすべてを結びつけながら、持続可能な漁業を実現しようとする取り組みです。

最後に、クラウドファンディングによって出版された絵本『ふなばしの海のおはなし コノシロさんちのハルちゃん』が参加者に配られました。

この絵本は、大野社長が代表を務める一般社団法人「伝統江戸前漁業を未来につなぐ会」が制作したもので、300冊が船橋市に寄贈され、市内の小学校にも配布されました。

この絵本が子どもたちと地元の海をつなぎ、東京湾の豊かな恵みと江戸前の漁業を未来へ受け継ぐきっかけになることをわたしたちも心から願っています。

追記:

船橋漁業協同組合 直売所「三番瀬みなとや」
コノシロのフライをおいしくいただきました。
骨も気にならず、ふっくらおいしかったです。

サステナブル・レストランサミット2026 「サミットパートナー」のご案内

サステナブル・レストランサミット2026 「サミットパートナー」のご案内

一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会(SRAジャパン)は、2026年11月24日、初となるサステナブル・レストランのカンファレンス「サステナブル・レストランサミット2026」を開催いたします。

今回のテーマとして設定したのは、
「HOSPITALITY RISING ― 地球規模の課題、地域での解決策」。

現在、気候変動、生物多様性の損失、食料システムの持続可能性、働く人々を取り巻く課題など、私たちの食や飲食業を取り巻く環境は、大きく変化しています。その一方で、日々お客様と向き合い、食材を選び、生産者とつながり、料理をつくり、地域に根ざして事業を営むレストランの現場には、こうした地球規模の課題を解決していくための多くのヒントと可能性があります。私たちSRAジャパンは、これまで全国のレストラン、シェフ、生産者、企業、教育機関、地方自治体、NGO/NPOなどさまざまなパートナーの皆さまとともに、「食」を起点に、より良い未来をつくるための取り組みを進めてまいりました。その一つひとつの実践と、これまで活動を支えてくださった皆さまへの感謝を大切にしながら、今回初めて、全国の食のサステナビリティの実践者が集い、互いの経験や知恵を共有し、次の行動へとつなげる場として、このサミットを開催することといたしました。

本カンファレンスは、英国のサステナブル・レストラン協会が2026年に発表した、飲食業のサステナビリティに関するインサイトレポート『HOSPITALITY RISING』をベースに構成しています。『HOSPITALITY RISING』は、世界各地のフードサービスの現場で生まれている創造性、リーダーシップ、そして具体的な実践を可視化し、それらを特別な事例として終わらせるのではなく、世界中の事業者が学び、それぞれの地域やビジネスの中で実行可能な行動へとつなげていくことを目的としています。

当日は、このレポートの内容や海外における先進的な取り組みをご紹介するとともに、日本各地でサステナビリティの実践を続けるレストランのシェフをはじめ、生産者、企業、地域など、さまざまな立場の実践者の皆さまにもご登壇いただく予定です。
成功事例だけではなく、試行錯誤や課題も含めた現場のリアルな経験を持ち寄り、「自分たちの地域や現場であれば、どのようにできるだろうか」と、ともに考え、学び、次の一歩を見つける一日にしたいと考えています。

大きな課題も、一つのレストラン、一人のシェフ、一人の生産者、一つの企業、そして一つのそれも小さな地域から始まる小さな行動が少しずつ繋がることで、社会を動かす大きな力になると私たちは信じています。そして、このサミットを「話を聞いて終わる場」ではなく、新しい出会いや連携が生まれ、翌日からの具体的な行動につなげていくきっかけの場にしていきたいと思っています。

そして、この一日の最後には、これまでレストランのサステナビリティの推進の活動をともにつくり、支えてくださった皆さまへの感謝を込めて、グローバルな基準であるFOOD MADE GOODスタンダードを中心として推進するコミュニティの成長をともに祝い、実践者同士がお互いの取り組みを讃え、学び合い、新たなつながりを育む食事とネットワーキングの時間も設けます。

また当日は、第6回となる「FOOD MADE GOOD Japan Awards 2026 特別賞」、ならびに次世代の料理人たちと食の未来を考える「未来のレシピコンテスト2026」の授賞式も同時開催いたします。

改めまして、これまで活動をともにしてくださった皆さま、支えてくださった皆さまに、改めて心より感謝申し上げます。そして今回初めてご参加いただく皆さまにも、ぜひこの場を、新しい仲間やアイデア、そして次の行動と出会う機会としていただけたら幸いです。

飲食業から社会を変えていく。日本の各地域から、地球規模の課題に対応し変化を生み出していく。

そんな「FOOD MADE GOOD」のムーブメントを、皆さまとともに、この機会からさらに大きく育てていきたいと考えています。本カンファレンスの趣旨に是非ご賛同いただき、ご参加いただくとともに、温かいご支援とご協力についても賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

それでは、2026年11月24日、皆さまと会場でお会いできることをとても楽しみにしております。

一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会

代表理事 下田屋 毅

 

【インタビュー】あか牛を提供することで、阿蘇の草原の生態系と、この地で暮らす人の営みを未来へつなぐ ーアンティカ・ロカンダ・ミヤモト

【インタビュー】あか牛を提供することで、阿蘇の草原の生態系と、この地で暮らす人の営みを未来へつなぐ ーアンティカ・ロカンダ・ミヤモト

日本サステイナブル・レストラン協会は、日本の加盟店のすぐれた取り組みを、英国のThe Sustainable Restaurant Association (The SRA) と連携し、The SRAのウエブサイトやソーシャルメディアを通じて、業界のみなさまに共有しています。

2026年9月のテーマは、More Plants, Better Meat (より多くの野菜とベターミートの使用)について、SRAジャパン加盟店、アンティカ・ロカンダ・ミヤモト(熊本県熊本市)の、宮本シェフに話を伺いました。取材の全文を日本語で紹介します。

熊本市に店を構えるアンティカ・ロカンダ・ミヤモトの宮本けんしんシェフ。

宮本シェフが生産者とともに育てた牛肉を、薪火や炭を使って焼きあげるステーキを求めて全国からゲストが訪れる。

宮本シェフは、自身が考えるサステナビリティの意味についてこう語る。

私たちが取り組んでいるのは、食を通じて阿蘇の草原と人の営みを守り、次の世代につなげていくことです。

日本最大の草原、阿蘇で放牧される「あか牛」

阿蘇は、約22,000ヘクタールの面積を誇る日本一の広さを持つ大草原で、世界農業遺産や国立公園にも認定されています。野焼きや放牧、採草といった1,000年以上続く人間の営みによって、森林化が防がれ、雄大な草原の景観と独自の生態系が守られてきました。

野焼きは、毎年2-4月に行われ、5月に新しい草が芽吹きます。草原は、地上部全体で光合成が行われ、水は地下に浸透して貯水されます。

阿蘇には、500を超える種類の草が生えると言われており、牛が繁殖力の強い草を食べることによって、絶滅危惧種の草が復活する。牛がいることで生態系が保たれているのです。

また、野焼きをすることで環境が再生される効果もあります。 

また、一般的に、牛肉1kgを生産するためには、約15,000リットルの水が必要で、水資源の枯渇が問題視されます。ところが、阿蘇は、草原があることで貯水効果が高まり、九州を代表する多くの一級河川の水源になっています。「九州の水がめ」といわれているほどで、隣県の宮崎、大分の農業をも支えているといわれています。アンティカ・ロカンダ・ミヤモトが使う牛肉は、この阿蘇で放牧されているあか牛。

宮本シェフが使用するあか牛は、いまでは手がける人も少なくなった放牧で、阿蘇に自生する野草を飼料に育ちます。牧草ではなく、野草を使うのが阿蘇の伝統。

草原は、守るだけでは減っていく。 野草という自然資源を生かすこと。料理人があか牛をおいしく料理することで食べる人が増えると、さらに規模を拡大して放牧ができ、草原が活かすことができる。ボランティアや補助金などで草原を保全するということではない。おいしい牛を放牧で育てることで、一般の消費者にこの草原のしくみを伝えていく。

日本では、独自に配合した飼料を与え人の手で作り上げた、「サシ」の多い肉が、柔らかく美味しいと評価され、高値がつく。草だけを食べる放牧牛をおいしく提供するために、宮本さんは、大学や生産者と共同で放牧の方法や、補助的な飼料の与え方、独自の熟成方法などを研究しています。肉の味を高め、おいしく食べてもらうことで、放牧のあか牛の需要が途切れないようにするための努力です。

肉を食べることで草原と有明海の生態系が守られている

昔の人は環境のためではなく、田畑を耕す「暮らし」のために牛を飼い、その結果として阿蘇の美しい草原が維持されてきました。しかし、農業が機械化され、牛が農耕に使われなくなった現在では、食べるための牛を放牧し、その肉を料理人が美味しく料理することが必要です

また草原は、放牧牛がそのまま食べるだけでなく、干し草に加工したり、バイオマスの資源になったり、堆肥にしたり、今では少なくなった茅葺き屋根の茅として、伝統の建築を守るなど、多くの用途に活用されています。また、阿蘇に降った大量の雨は、火山灰や溶岩の地層でゆっくりとろ過され、カルシウムやマグネシウム、シリカなどの豊富なミネラルを含んだ湧水や地下水となります。その肥沃な水が白川や筑後川などの1級河川を通じて有明海に流れ込み、植物プランクトンや海苔の生育に欠かせない栄養をもたらしています。 

雄大な草原の自然・命の循環をコースに込めて

宮本シェフのコース料理に表現されるのは、阿蘇の千年の伝統である「野焼き」や、雄大な草原から海への命の循環を表現したストーリー。前菜からメインまで、その季節に熊本で旬を迎える野菜や食材が随所に登場します。

またコースには、宮本シェフ自身の記憶も重なります。子どもの頃に食べた祖母の手料理。有明海で放課後に友達と採りに行った貝や魚。故郷の風景。それらが確実に失われつつある風景にも心を痛め、積極的に伝統漁法の漁師さんから買い付けを行い、お皿で表現し、ゲストに訴えます。

地域の自然や伝統という大きな物語と、ひとりの料理人のパーソナルな記憶、その両方がコースのなかに織り込まれ、ただおいしく食べるだけではない、アンティカ・ロカンダ・ミヤモトならではの特別な体験をゲストに提供しています。

ベターミートを選ぶには

サステナビリティを考える時、牛肉はどうしても環境面での負荷が問題になり、使うことがためらわれます。そこでベタミートである放牧牛を調達しようとしても、その流通量は少なく、調達は簡単ではありません。ベターミートの選び方について、肉の専門家である宮本シェフはこう答えます。

 流通量の95%を占める和牛の中には、放牧牛ではありませんが、生産者が家族のように愛情を込めて大切に育てており、アニマルウェルフェアに配慮された、より良く育てられた牛を見つけることができます。またJGAP認証を取得している生産者もいます。このような生産者や認証の肉を使うことも一つの選択肢といえると思います

FOOD MADE GOOD Japan Awards2024 BEST調達賞受賞

アンティカ・ロカンダ・ミヤモトは、2024年に日本サステナブル・レストラン協会に加盟しました。しかし宮本氏は、それまで自分たちの活動を特別にサステナビリティを意識してきたわけではなかったといいます。

私たちは、何か特別にサステナビリティに取り組んできたという感覚ではありませんでした。地元で、昔ながらの方法で誠実に食材を育てている人たちから仕入れる。そういう当たり前のことを続けてきただけなのです

その取り組みをFOOD MADE GOODスタンダードによって客観的に見直した結果、最高評価となる3つ星を獲得。さらに「FOOD MADE GOOD Japan Awards 2024」では、「BEST調達賞」を受賞しました。

メディアやお客様から好意的な反応をいただきました。でも、何よりうれしかったのは、私たちの仲間である生産者の皆さんが受賞を誇りに思い、一緒に喜んでくれたことです

すでに取り組んでいる店にこそ、FOOD MADE GOODスタンダードを

すでにサステナビリティに関する取り組みを行っているレストランは、すぐにでもスタンダードを始めることをお勧めすると、シェフはアドバイスする。

 自分たちの取り組みが客観的にサステナビリティに値すると高く評価されるかもしれません。また、自分たちになにが足りないのか、具体的に知ることができ、次に何を行うべきか方向性を見出すことができます

シェフ:
宮本けんしん Kenshin Miyamoto

19歳で渡伊。
イタリアの名店「ラ・テンダ・ロッサ」、「ラ・シリオラ」「ヴィッラ・ロンカッリ」などで修行。
27歳で帰国後、実家の「イタリー亭」に勤務。
31歳で「リストランテ・ミヤモト」開店。

2011年
農水省料理人顕彰制度「料理マスターズ」ブロンズ賞を受賞。

2012年
熊本県農業コンクール「農業貢献賞」。
熊日新聞創立70周年記念「熊本グランドデザイン論文」にて優秀賞。
アサヒビール『九州情熱人』にて「熊本で最も熱い人大賞」。
熊本県食農ネットワーク運営委員。
「食の大地・くまもと」世界農業遺産推進研究会代表。
阿蘇地域世界農業遺産推進協議会委員。

2013年
熊本県観光審議会委員就任。
「食の大地・くまもと」親善大使へ就任。
阿蘇地域世界農業遺産協会 顧問就任。
阿蘇地域世界農業遺産認定の立役者となる。

2014年
日本政府より「2015年 ミラノ国際博覧会日本館サポーター」就任を委嘱される。
社会活動支援機構より社会活動大賞受賞。
熊本県知事より「世界農業遺産・阿蘇」認定に尽力したとして、感謝状を授与される。

2015年10月
イタリアミラノで開催されたミラノ国際博覧会にて、熊本県と阿蘇をPRする。
料理のデモンストレーションを行う。

2016年
熊本地震においての支援活動や東京でのチャリティーイベントなどを精力的にプロデュース。

2017年
JAL国内線ファーストクラスの機内食の監修。

2019年
農林水産省「料理マスターズ」シルバー賞受賞。

2020年
老舗料亭「なだ万」全店での「熊本フェア」のアドバイザー就任。

2021年
高島屋百貨店の熊本食材を活用したお中元をプロデュース。

2024年
FOOD MADE GOOD Japan Awards BEST調達賞受賞。

アンティカ・ロカンダ・ミヤモト
熊本県熊本市中央区新屋敷1丁目9−15
https://al-miyamoto.com/

FOOD MADE GOODスタンダードは、世界中で使われている、ホスピタリティ産業(飲食業、ホテル)のサステナビリティの推進度合いをはかることのできる、グローバルスタンダードです。日本サステイナブル・レストラン協会加盟店の正会員店舗は無料で参加することができます。自店のサステナビリティの推進度合いの客観的評価を得られるとともに、どこを改善したらよいのか等のアドバイスが得られます。詳しくは、日本サステイナブル・レストラン協会加盟店にお問い合わせください。