2022年5月に、イングランド銀行が年末までにインフレ率が10%に上昇すると予測したとき、それがそれほど衝撃的でなかったのは、今の経済状況を物語っています。今、レストランを経営している人は、一律10%の値上げを提示したら反感を買うでしょう。多くの人が直面している現実は、もっと悲惨だからです。
私たちは、さまざまなコストのプレッシャーについて思い出す必要はほとんどないでしょうが、ここでは、エネルギー料金の高騰、食品価格の高騰、過去数十年間見られなかった賃金上昇の3つを簡単に挙げておきます。
コロナのパンデミックを乗り切るためのガイドがなかったように、レストラン経営者にとっても、このコスト高騰に備えるものは何もありません。
ウクライナ戦争とコロナの影響により、2022年後半以降、歴史的なエネルギー価格の高騰が生じています。現時点でのインフレ圧力の強さは極端ですが、気候危機のため、変動性は当面続く可能性が非常に高いというのが実情です。日本の現状においても、大手電力会社は、今年5月の電気料金の値上げを発表し、過去5年間で最も高い水準になっています。
サステイナブル・レストラン協会(SRA)は、ホスピタリティ産業(飲食・宿泊業など)を人と地球に配慮した未来に向けてさらに加速させることを約束する組織です。
ここではで、今こそビジネスの将来を見据え、財務的な負担を軽減する機会を提供するだけでなく、レストランが環境に与える影響を軽減し、労働力にも良い影響を与えるような取り組みに投資することをご紹介していきます。
エネルギーアナリストのコーンウォール・インサイトの調査によると、2022年の最初の3カ月間に中小企業が支払ったガス料金は、2021年の同時期に比べ250%高かったといいます。
このセクターのエネルギーコストは、この危機の前からすでに十分に高く、合計で年間13億ポンド以上(約2184億円)、炭素排出量は800万トンにのぼります。UK Power(英国の電力会社)の試算によると、英国のレストランの総支出の5%がガスと電気に費やされる可能性があります。そして、それは増加の一途をたどっています。
フードサービス・エクイップメント・アソシエーション(英国最大の独立したフードサービス機器の業界団体 )のキース・ウォーレン 氏は、設備投資にまだ慎重な企業にとって、リースの選択肢がますます広がっていることを示唆しています。
「厨房を羨ましく思うことはよくあることです。シェフが働きたくなるような厨房を作ることで、スタッフを引き付け、定着させることができます。シフトの終わりにレンジの焦げを落とす代わりに、拭き掃除をすればいいのです」。
設備投資が困難な場合でも、電気代を節約し、二酸化炭素排出量を削減する方法はたくさんあります。具体的な方法としては、以下のようなものがあります。
掃除
カーボントラストは、エネルギーコストの20%が非効率的な機器によって浪費されていると推定しています。フィルターが汚れた冷蔵庫は、新品時より25%エネルギーを消費し、スケールの大きい暖房器具は、温度に達するまでに50%以上のエネルギーとかなり多くの時間を消費します。
大切なことは、主要な機器の清掃と点検を行うことです。
賢く使う
レストランの中でガスや電気を最も消費しているのは何か、ご存知ですか?
そうでない場合は、スマートメーター(毎月の検針業務の自動化などで電気使用状況の見える化を可能にする電力量計です)を設置しましょう。日本でもさまざまな電力会社が導入を進めています。ぜひお近くの電力会社に問い合わせしてみてください。
チームの力を引き出す
光熱費の請求書をチームで共有し、エネルギーやコスト削減の方法を考えたり、基本的な行動を見直すことで、チームのモチベーションを高めることができるかもしれません。
スイッチを入れる
まだ従来の電球を小型蛍光灯(CFL:Compact Fluorescent Light)に交換していないなら、今すぐ交換しましょう。標準的な電球に比べ、消費電力が75%少なくなります。
グリーン化
コストをかけずにレストランの二酸化炭素排出量に大きな影響を与える方法として、100%再生可能エネルギーの料金体系に切り替えることに匹敵するものはありません。実際、SRAのパートナーでもあるネットゼロナウが行った「ネット・ゼロ・レストラン」の取り組みを完了したロンドンのレストランでその効果を計算したところ、なんと年間600トンもの二酸化炭素を削減することができました。
以上、エネルギー価格が高騰している今とこれからを乗り切るためのヒントをご紹介しました。
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