香港のサステナビリティ推進レストランが表彰されました

香港のサステナビリティ推進レストランが表彰されました

*この記事は英国SRAのニュースを翻訳し抜粋したものです。

昨年、11月29日に開催された第3回「Food Made Good香港アワード2022」では、半分がコインランドリーで、半分がカフェになっている環境に配慮した「コーヒー&ランドリー」と、使い捨て包装の撤去を使命とする「キン・フードホール」という食品販売店が受賞しました。

飲食業界における持続可能性に関する最も優れた取り組みやベストプラクティスを称えるこのイベントでは、Food Made Good 香港のサステナビリティの3つの柱(調達、環境、社会)に基づき、10種類の賞が設けられています。

 

ヘンダーソン・ランド・グループ(香港の不動産会社)がスポンサーを務めたこの夜には、受賞者とファイナリストの功績を称えるだけでなく、サステナビリティを重視する多様な専門家たちが集まりました。

基調講演を行ったWWFアジア太平洋地域コンサベーション・インパクト・ディレクターのアリスター・モニュメント氏は、次のように述べ、ゲストを鼓舞しました。「COP27では、ついに『食』が議題として取り上げられました。未来の食を体験してもらうため、HSBC(銀行)が提供する「ワン・プラネット・プレート」というグローバルなキャンペーンに参加する6人のシェフが、以下の5つのカテゴリーのうち1つ以上を満たした、サステナビリティ理念を体現する料理を紹介しました。5つのカテゴリー:「より多くの野菜を使用」「低カーボンフットプリント」「地産地消と旬の食材の推進」「水産資源や生態系の保全に配慮した魚介類の使用」「食材を無駄にしない」です。

アワードで提供された料理の一例

プレス関係者で構成された2つのチームが、「ワン・プラネット・プレート」の各料理に込められたサステナビリティの理念を正しく理解し、競い合いました。数ラウンドの競争の後、優勝チームにはザ・ミラ・香港(香港のホテル)のCOCO(最高組織文化責任者)から賞品が贈られました。

 

また、ウマノタスパイスボックスオーガニックスグランドハイアット香港の「グランドカフェキッチン」、ザ・ミラ・香港クイジンクイジンザ・ランドマークマンダリンオリエンタルのアンバーマンダリン グリル + バーから、サステナブルで地球環境を第一に考えたカナッペが提供され、お客様にはそれらのお料理を堪能していただきました。そして、スポンサーのルイナール、シャトーガルペ、リレ、シダーズ、ジェイコブス・クリーク – ワインフィーバーツリー、シーバスリーガル、ヤングマスターズ、イノセントドリンクスが提供する飲料類です。

 

基調講演では、アリスター・モニュメント氏が、人と地球に配慮された「プラネットベースの食事(健康に配慮され、環境影響が少ない食事)」を推進することの重要性を再認識し、よりサステナブルで強靭なフードシステムの構築に向けて、会場にいる人々の更なる努力の重要性を語りました。

リチャード・エッケバス、ハイディ・ユ・スパレル、シェルドン・フォンセカ、プナム・チョプラ、グスタボ・エンリケ・ヴァルガス・モラ、リカルド・チャネトン

フレッシュ・アカウンティング(会計会社)がスポンサーを務める「オープンライト賞」は、今年初めて設けられた部門であり、ビジネスを継続するためにサステナビリティを高めることに対応したレストランに焦点を当てたものです。部門賞を受賞したキン・フードホールは、コロナにおける持ち帰りサービスの増加に伴い「2025年までにすべてのパッケージをなくし、循環型パッケージに置き換える」という野心的な目標の達成に向けて取り組んでいます。

オープンライト賞受賞のキンフードホール共同創業者ジョナサン・ヨー氏とフレッシュアカウンティング共同創業者ニック・チャング氏

クリーンサステナブルコーヒー&ランドリーの創設者兼ディレクターであるシンシア・ロックにとって、社会賞の受賞は大きな驚きだったようです。「本当に驚きました」と彼女は受賞の喜びを語りました。「ランドマークであるマンダリン オリエンタル 香港やグランド ハイアット 香港といったホテルと同じカテゴリーで最終選考に残ったことは、私たちのような小さな企業にとって本当に光栄なことです」。社会賞は、Food Made Good 香港のメンバーの中で、スタッフ、顧客、そしてより広いコミュニティに対して、先進的なビジネスとして社会的責任を果たしている企業に贈られるものです。

クリーン創設者のシンシア・ロクとメコンクラブのCEO、マット・フリードマン氏

受賞者一覧

ワン・プラネット・プレート賞:アウリス香港

調達賞:テーブル・バイ・サンディ・キョン

グッドトゥゴー賞 :モット32

オープンライト賞 :キンフードホール 

イノベーション賞 :ブリーア 

ピープルズチョイス賞:ツリーハウス

サプライヤー賞:ノルダック 

環境賞:ザ・ハリ 香港「ゾク・レストラン&ザ・テラス」

社会賞 :クリーンサスティナブルコーヒー&ランドリー

ビジネス オブ ザ イヤー(大賞):ザ・ランドマーク マンダリン オリエンタル「アンバー」

 

サステナブル・イベントプランニング

最後に、2年目をサポートしてくれたミラに感謝します。FOOD MADE GOOD香港は、以下のようなことを行いました。

 

・すべてのドリンクと製品は、会員と地元の企業(1社)からご提供いただきました。

・食事は65%がヴィーガン・ベジタリアン。

・名札ホルダーは用意せず、再利用可能なマグネットバッジでチェックインしました。

・看板は最小限にとどめ(カード式印刷の背景1枚)、プレスリリースはデジタルフォーマットのみで配信しました。

アワビが「絶滅危惧種」に!今後、保護を求める動きが出る可能性も

アワビが「絶滅危惧種」に!今後、保護を求める動きが出る可能性も

各国の政府や環境団体などでつくる「国際自然保護連合」(IUCN)は世界の生き物の絶滅危険度を評価したレッドリストの最新版を昨年12月9日に公表しました。高級食材であるアワビですが、日本で採取される3種(クロアワビ、メガイアワビ、マダカアワビ)を含む20種が絶滅危惧種に選定されました。日本で採取される3種は、近い将来に野生での絶滅の危険性が高い「絶滅危機(EN)」と評価されており、3段階ある絶滅危惧種のランクのうち、2番目に深刻な評価となっています。主な要因に乱獲や密漁、気候変動や環境汚染などが挙げられています。

カナダ・モントリオールで2022年12月7日~12月19日まで開催された国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)の会場で発表され、IUCN事務局長ブルーノ・オベール氏は「人間の持続可能でない活動が、世界の海洋生物を大規模に死なせる最悪の事態を招いている」と、述べました。レッドリストに法的な拘束力はありませんが、今後、保護を求める動きが出る可能性があるといわれています。

 

【参照サイト】“高級食材”3種類のアワビ レッドリストの絶滅危惧種に指定

【参照サイト】IUCNレッドリスト

ベターミートとは?

ベターミートとは?

「Food Made Good サステイナビリティフレームワーク」の10項目の中に「より多くの野菜とベターミートの使用」という項目があります。ベターミートとは一体何を意味するのでしょうか?今回は、ベターミートについて詳しくご紹介するだけでなく、コミュニティアプリ内にベターミートの調達先のリストも掲載しました!ぜひ参考になさってください。

養殖魚に対する不安を解消する

養殖魚に対する不安を解消する

参考記事:https://www.foodmadegood.org/conquer-your-fears-about-farmed-fish/

ロレイン・ギャラガー( Aquaculture Stewardship Council(水産養殖管理協議会)の英国とアイルランドの市場開発マネージャー)

ASCとはMSCのような天然の水産物だけでなく、養殖による水産物にも、MSCと同様に認証する仕組みがあります。「ASC(Aquaculture Stewardship Council:水産養殖管理協議会)」は養殖版の認証制度です。

ホスピタリティ関係者(ホテルや旅館、レストランなどの飲食産業など)が養殖魚に対して抱く心配や誤解を解くことが、私たち養殖管理協議会(ASC)の使命です。 

国際的に水産物の養殖は、残念ながら過去に悪い評判がありました。しかし、責任ある養殖を実践している養殖場は世界中に何千とあり、一部の非倫理的な養殖業者のせいで、責任を持って業務を行なっている業者の仕事が妨げられてしまっています。私たちASC(水産養殖管理協議会)の仕事は、どういった養殖が良いのか、責任があるかの基準を常に設定し、評価を行いできるだけ多くの養殖場にその基準を目指して努力してもらい、私たちの認証を受けるよう奨励しています。

養殖の評判を上げるためには、「養殖」という言葉から恐怖心を取り除き、正しい基準を守っていけば、養殖魚は健康的でおいしく、責任ある選択になることを示す必要があります。今年の最もエキサイティングだったニュースは、現在30以上のスコットランドのサーモンの養殖場がASC規格に認証されているか、認証取得のための初期審査中であるということです。これは、英国のシェフが、責任を持って地元で生産されたサーモンを選ぶことができるということを意味します。
(SAR-J補足:日本においてASC認証を取得した養殖場は90あります。こちらから確認することができますので調達の際の参考になさってください。)

 

養殖は、世界中で食される魚介類の半分以上を生産しており、将来、急速に増加する世界の人口に健康的で安価なタンパク質を供給し、危機に瀕した野生資源を保護するために不可欠なものとなるでしょう。また、エネルギー、淡水、土地をあまり必要としない傾向にあるため、陸上の食肉に代わるタンパク源にもなっています。サーモンの需要は今後も衰えることはなく、養殖サーモンはその需要を満たすための唯一の選択肢となります。

グラフ:(ASC HPより引用)

 

多忙な外食産業従事者にとって、養殖魚に関する環境、倫理、動物福祉の基準をすべて把握し、どのように供給されているのかを監視し、何を質問すべきかを知ることは、非常に困難なことでしょう。そこで、私たち(ASC)は英国サステイナブル・レストラン協会と協力して、持続可能な養殖ガイドを作成していく予定です。(SRA-J補足:WWFジャパンからはお魚ハンドブックが発行されていますので是非参考になさってください。)

 

ASC認証養殖場の養殖魚は、環境要素だけでなく、動物福祉や社会的責任も含む、世界で最も厳しい基準をクリアしなければなりません。私たちが守っている基準の一部を簡単にご紹介します。

動物福祉

「海シラミ」の一種のサケジラミ(Lepeophtheirus salmonis)の管理:サケジラミはおそらく反養殖運動家が一番に口にする問題であり、重要な問題です。サケジラミは魚が密集しているサケの個体群に蔓延し、養殖サケの身体的な健康を損なうだけでなく、野生のサケの個体群にも広がる可能性があるのです。私たちの基準では、一般的および希少な海シラミのレベルを監視し、発生を最小限に抑えるために多くの対策を行なっていますが、これらを防ぐためには特定の薬のみ認可されているなどなど、非常に厳しい条件があります。生産者は、サケの生存率が上がるように、養殖場を管理する必要があります。

 

環境

汚染:ASC認証を受けたサーモン養殖場は、様々な水質パラメータ(リン、酸素濃度など)を定期的に測定し、設定された範囲内に収めることが要求されます。責任ある養殖は、(EU水枠組み指令などで)「良好」または「非常に良好」と分類された水域でのみ行うことができます。さらに、水域への銅の放出は最小限にとどめ、監視していかなければなりません。

 

社会

公正な労働: 私たちの認証は、国際労働機関(ILO)の基本原則に基づく厳しい要件を課しています。児童労働やあらゆる形態の強制労働が禁止されています。ASC認証養殖場はすべて、安全で公平な労働環境であり、従業員は適正な賃金を得て、決められた労働時間内で働ける環境となっています。また、生産者は地域社会と協議し、潜在的な健康リスクについて知らせ、重要な情報へのアクセスを提供する必要があるのです。