地域コミュニティへの支援:KIGI

地域コミュニティへの支援:KIGI

KIGIは、東京の中心部、永田町に位置し、緑豊かな環境に囲まれたレストランです。2020年から日本サステイナブル・レストラン協会を通じてSRA(サステイナブル・レストラン協会)と連携しており、「Food Made Good」スタンダードで3つ星を獲得しているほか、地域社会への貢献にも力を入れています。この度、CEOの表 秀明氏にインタビューを行い、彼らがどのように地域社会とつながっているのか、そしてなぜそれがKIGIのチームにとってこれほど重要なのかについて話を伺いました。

YouTubeで表氏がこの件について語る様子をご覧いただけます。またインタビュー全文は以下をお読みください。

「店舗で、お料理、お飲み物を提供することの価値は、お腹を満たすことだけではなく、その地域、街の中で飲食店が果たすべき役割がもっとあると考えています。」と、KIGIのCEOである表 秀明氏は語ります。生産者さんから私たちの手元に届くまでに関わる全ての方のストーリーを伝えることによって、お客様が社会的課題や環境問題を知るきっかけになり、そこからそのゲスト(生活者)の未来の選択も変わると信じています。

「レストランで料理や飲み物を提供することの価値は、単に人々の空腹を満たすだけにとどまりません。レストランは、地域社会においてより大きな役割を果たすことができるのです。」

地域コミュニティへの支援:KIGI

チームは、さまざまな形式や接点を通じて、多様な方法で地域社会とつながりを築いています。例えば、レストランでは定期的にNGOのイベントに会場を提供しており、ケータリングを通じて支援を行うこともよくあります。

「様々なソーシャルグッドな活動をしている方々が多くいらっしゃる中で、私たちのスペースを利用してもらうことや、コラボレーションを起こすことで、その団体様の活動やメッセージがより多くの方に届くようにと思い、スペースをご利用いただいております。」と表氏は語ります。

「様々なイベントで“食”にも配慮してイベントを開催されている主催者様を尊敬しております。NGOの方々の目指す社会、未来に共感ができるので、ケータリングさせていただくことも大変光栄に思っており、少しでもお役に立てたら幸いです。」

KIGIはまた、地域社会から信頼され、健康的で栄養豊かな旬の料理を提供する場でもあります。「例えば日本のビュッフェ形式での食事は多くの場合、種類が多ければ多いほどよく、食材も豪華であることが魅力として発信されるケースを見かけます。」と秀明氏は説明します。「私たちは、種類、高級食材による豪華さを基準にせず、シェフの手作りの健康的な一皿や、社会的課題、環境に配慮した食材、世界中のゲストが安心して召し上がっていただける食事を大切にしています。またビーガン、ムスリム、など様々な多様性に配慮した食事も重要だと考えています。なので、一部のゲストから見たら、種類が少なく、質素に見える場合もあるかもしれませんが、足るを知るという精神も大切にしています。」

表氏は、地域社会を支え、地域経済に資金を循環させる上で、近隣の小規模な事業者からの仕入れが重要であると指摘しています。

「私たちの店舗は規模は小さいので、大きな支援にならないかもしれませんが、地域の飲食店がより地元に目を向けることで、飲食店の価値も、その地域の価値もupすると思っています。料理人の方は既に、世界中の生産者さんの魅力を十分理解している方も多いと思います。その基準をさらに自分たちの地域にフォーカスし、美味しさ以外の魅力、価値を見つけてもらえると良いと思います。もちろん美味しさは失わず。」

私たちの店舗は規模は小さいので、大きな支援にならないかもしれませんが、地域の飲食店がより地元に目を向けることで、飲食店の価値も、その地域の価値もupすると思っています。

「養蜂活動を毎週共にさせていただくことで、多くのメリットを得られています。これまで食べたことのない香りのよい新鮮なはちみつを食べることができ、作業に参加することで、社会福祉団体の方々との交流ができ、毎週関係性も深まっています。」と表氏は語ります。

「生物多様性と関連する、ミツバチの重要な活動を知ってもらうのに最適な取り組みですし、自分の地元を調べてみると近くに養蜂をしている方が各地にいらっしゃると思いますので、飲食店でも個人でも参加してみることをおすすめします。」

コミュニティとつながることの利点

表氏は、コミュニティへの強い関心を持ち続けることが、ビジネスとチームの双方にとって大きな利益をもたらしてきたと確信しているそうです。「こうした取り組みを進めることで、多くの方々に出会うことができました。店舗での営業だけでしたらこれは叶わないことだと思います。シェフ、メンバーにとっても、想像しないような出会い、機会に恵まれていると思っております。」と表氏は語ります。

 

「こうした取り組みを進めることで、多くの方々に出会うことができました。店舗での営業だけでしたらこれは叶わないことだと思います。シェフ、メンバーにとっても、想像しないような出会い、機会に恵まれていると思っております。」

また、業界全体での連携の重要性も指摘しています。「私たちの活動だけではまだまだインパクトが小さいと思っています。今までの頑張りでも温暖化は進み、環境破壊は進み、戦争は止まりません。それぞれの飲食店がこだわりを持ち営業しているなかで、飲食店以外の企業、セクターとも連携し大きなインパクトに貢献できるような仕組み、プラットフォームを作りたいと考えています。」

KIGIにおける、Food Made Goodとは

「FOOD MADE GOODスタンダードが飲食店飲食業界の未来を照らしていることは間違いないと信じています。」と表氏は話します。「食の力が社会を変化させることができるとワクワクした気持ちを今でも思い出します。」

「FOOD MADE GOODスタンダードのアセスメントに取り組み、その最終レポートを受け取ることで、自分たちが知らなかった、自分たちの強みを認識することができ、店の魅力の幅が広がり、大変ありがたいと感じています。またスタッフ全員が、フードロス、フェアトレード、エネルギー問題、など様々な問題を意識して営業できるようになるというメリットも感じています。一皿を作るただの作業ではなく、この一皿から地球の未来までを創造できる仕事になりました。非常に大きな価値を得たと思います。」

「FOOD MADE GOODスタンダードが
飲食店飲食業界の未来を照らしていることは
間違いないと信じています。」

「食の力が社会を変化させることができると
ワクワクした気持ちを今でも思い出します。」

「FOOD MADE GOODスタンダードの
アセスメントに取り組み、
その最終レポートを受け取ることで、
自分たちが知らなかった、
自分たちの強みを認識することができ、
店舗の魅力の幅が広がり、大変ありがたいと感じています。

またスタッフ全員が、フードロス、フェアトレード、エネルギー問題、
など様々な問題を意識して営業できるというメリットも感じています。

一皿を作るただの作業ではなく、
この一皿から地球の未来までを創造できる仕事になりました。
非常に大きな価値を得たと思います。」

KIGIの詳細はこちら公式サイトをご覧ください。

わたしたちが Food Made Goodネットワーク の事例を共有する目的は、皆様がご自身のビジネスで実践できる新たな取り組みを見つけるお手伝いをすることです。さらなるインスピレーションをお探しなら、2026-27年版グローバル・サステナビリティ・インサイト・レポート「Hospitality Rising: Global Challenges, Local Solutions」をぜひご覧ください。 この業界を形作る最新のトレンドや影響を探求し、世界中のあらゆる規模や業態の企業によるスマートなサステナビリティ・イニシアチブの事例が満載です。 こちらからダウンロード

トロントの「Library Bar」が北米サステナブル・バー賞を受賞。食品ロスから労働環境まで、一杯のカクテルに詰まった未来への取り組み

トロントの「Library Bar」が北米サステナブル・バー賞を受賞。食品ロスから労働環境まで、一杯のカクテルに詰まった未来への取り組み

「North America’s 50 Best Bars」の第2回授賞式が、今年もカナダ・バンクーバーのVancouver Convention Centreで開催されました。

その中で、2026年の「North America’s Sustainable Bar Award(北米サステナブル・バー賞)」を受賞したのは、トロントの歴史あるホテル、Fairmont Royal York内にあるLibrary Barでした。

築97年を迎えるFairmont Royal Yorkの中にあるLibrary Barは、文学をテーマにしたカクテルやアールデコ様式の空間デザインでも知られています。しかし今回高く評価されたのは、そのデザイン性だけではありません。

サステナビリティに対する幅広く、そして深い取り組みが評価されました。

サステナブル・レストラン協会(SRA)のCEOであるジュリアン・カイユエット・ノーブル氏は、今回の受賞について次のようにコメントしています。

「トロントのFairmont Royal York内にあるLibrary Barの皆さん、おめでとうございます。食品ロス削減から建物改修による排出量削減、そして従業員の完全な組合化まで、サステナビリティに対する包括的で統合的なアプローチが素晴らしいものでした。

私たちは、地域調達への姿勢や、その土地らしさを大切にしている点にも感銘を受けました。Library BarはOntario 100km認証を取得しており、州内の独立系農家から、生産者自身が価格を決めた食材を購入しています。また、コーヒーかす、アボカドの種、柑橘類の皮などを地元蒸留所と協力してリキュールへ再生し、それをバーで提供しています」

では、なぜLibrary Barの取り組みはそこまで高く評価されたのでしょうか。

Library Barの責任ある調達

地域農家とつながる「Ontario 100km Foods認証」

Library Barは、「Ontario 100km Foods認証」を取得しています。

この認証は、オンタリオ州内の独立系農家から食材を調達している取り組みを評価する制度です。

100km Foodsは、生産者とLibrary Barのような購入者を直接つなぐネットワークとして機能しています。透明性の高い地域の食システムを構築し、生産者の生計を支えるだけでなく、新鮮で旬の食材へのアクセス向上にもつながっています。

また、Fairmont Royal Yorkでは、ホテルの屋上を庭園と養蜂場へと転換しています。

そこで育てられた野菜やはちみつは、ホテル内のすべての飲食施設へ直接供給されています。

「食品ロス」をカクテルの素材へ

Library Barでは、メニュー設計にも循環型(サーキュラー)の考え方を取り入れています。

地元の蒸留所と連携し、これまで食品廃棄物として扱われていたものを、新しい価値を持つリキュールへ生まれ変わらせています。

具体的には次のようなものです。

・コーヒーかす
・アボカドの種
・皮をむいた柑橘類

これらは独自のカクテル原料として活用されています。

この取り組みによって、過去1年間だけでも約1,000kgの柑橘類廃棄物が埋立処理や焼却を回避しました。

Library Barが取り組む社会的サステナビリティ

Library Barでは、環境面だけでなく社会面でのサステナビリティにも力を入れています。

サービススタッフ、キッチンスタッフ、バーテンダー、サーバー補助スタッフの職種は、包括的な労働協約の締結によって完全に組合化されています。

この協約によって、スタッフには以下が保障されています。

・適正な報酬
・十分な権利と福利厚生
・身体的健康への支援
・精神的健康への支援
・経済的安定への支援
・多様性と包摂性のある職場環境

さらに、Library Barは地域コミュニティ支援として、2つの団体と連携して余剰食品の再分配も行っています。

B12Giveは、余剰食品と食料不足の課題をつなぐことを目的とした地域の認証B Corpです。同日中に物流支援を行い、余った食品を必要としているコミュニティへ届けています。

また、La Tablée des Chefsは、食品提供者と地域パートナーをつなぐ役割を担っています。

2025年には、

・6,000kg以上の回避可能な食品廃棄を再活用
・毎月2,000食以上を地域の慈善団体へ提供

という成果につながりました。

Library Barの環境への取り組み

Fairmont Royal Yorkは、ゼロカーボン実現に向けた取り組みとして、北米最大規模となる歴史的ホテル改修プロジェクトを完了しました。

このプロジェクトでは、「Zero Carbon Building Performance Standard認証」を取得しています。

この改修によって、年間7,000トン以上のCO₂排出削減が見込まれています。

これは、自動車1,558台を道路からなくすことに相当します。

また、建物運営から直接発生する排出量の80%を削減し、残りについてはCarbonzero認証によるオフセットで対応する予定です。

世界最大規模の湖水冷却システムも採用

バーの冷却システムには、「Toronto Deep Lake Water Cooling」が導入されています。

これは世界最大規模の湖水利用冷却システムです。

オンタリオ湖の深層から自然に冷たい水を引き上げ、循環システムを通じてホテルや病院、住宅施設などを冷却しています。

これにより、従来のエネルギー効率が低い冷却設備への依存を減らしています。

また、暖房と給湯については電気ヒートポンプシステムへ切り替え、従来の蒸気設備は廃止されました。

さらに、AIを活用した廃棄物追跡システムや調達・調理プロセス改善、ホテル全体の有機廃棄物・リサイクルの仕組みによって、食品廃棄物の埋立量を2023年比で50%以上削減しました。

1年間で111,895kgの削減を達成し、利用客1人あたりの食品廃棄量も20%削減しています。

参照記事:https://thesra.org/news-insights/news/and-north-america-s-50-best-bars-sustainability-award-goes-to/

 

         

         

 

         

         

 

         

         

 

【未利用食材に新たな価値を】〜未来のレシピコンテスト・ファイナリストの声〜

【未利用食材に新たな価値を】〜未来のレシピコンテスト・ファイナリストの声〜

未来のレシピコンテスト2025 ファイナリスト
一瀬 颯真 いっせそうま(ザ・キャピトルホテル 東急 中国料理「星ヶ岡」)

静岡県出身。東海調理製菓専門学校卒業後、東京・自由が丘「蔭山樓」にて研鑽を積む。2023年 ザ・キャピトルホテル 東急 入社。

「食用に向かない」と言われる肉を、料理人の技術でおいしくすることはできないだろうか。
ザ・キャピトルホテル 東急 中国料理「星ヶ岡」で点心を担当する一瀬颯真さんは、未来のレシピコンテストで産卵を終えた比内地鶏の老鶏を使った料理「雪花秋鶏~比内老鶏の雪花仕立て~」を考案した。一般には硬く食用に向かないとされる鶏を、中国料理の伝統技法によって一羽余すことなく味わう一皿に仕立てている。

一瀬颯真さんは現在、ザ・キャピトルホテル 東急 中国料理「星ヶ岡」で、点心を担当している。餃子や焼売などの点心の製造に加え、新しい点心メニューの開発も主な役割の一つだ。
既存メニューの改良だけでなく、食材の見直しにも積極的に取り組んでいる。現在特に力を入れているのは、点心に使用する食材の国産化だという。

「粉や肉、野菜など、点心に使う主要な食材をできるだけ国産に切り替えていく取り組みを進めています」

同ホテルでは全社として積極的にサステナビリティの取り組みを進めている。特に「星ヶ岡」は外国産食材から国産へ順次切り替えを進めるなど、サステナビリティの取り組みを強化し、FOOD MADE GOOD Awardsの社会部門で最優秀賞を受賞した。点心部門でもその方針に沿い、食材の見直しを進めている。

将来、料理人として自身の表現を深めていくうえで、できるだけ国産食材を使った料理を提供したいと考えており、現在の取り組みはそのための学びにもなっているという。

サステナビリティとの関わり

以前の職場では「サステナビリティ」という言葉自体が身近ではなかったという一瀬さん。同ホテルに転職し、料理人としての視野が大きく広がった。

「星ヶ岡」では47都道府県の食材をテーマにしたフェアを3カ月ごとに開催しており、各地の食材を使った料理の提案が求められる。その中で、自然と地域食材や国産食材への関心が高まっていった。

入社当初はデザート部門を担当し、平飼い卵や地域の牛乳などを扱う中で、食材の背景を自分で調べるようになったという。

「平飼いとはどういう飼育方法なのか、飼料はどうなっているのか。そういうところまで自然と調べるようになりました」

こうした経験が、食材の生産背景や環境への影響を意識するきっかけになった。

 

未来のレシピができあがるまで

今回のコンテストのテーマは「ベターミート」。一瀬さんはまず、ベターミートやアニマルウェルフェアについて理解することから始めた。食材を探す中で最終的に選んだのが、秋田の比内地鶏の老鶏(親鳥)だった。実はこれは、「星ヶ岡」でスープのベースとして普段から使われている食材で、特別に取り寄せたものではない。

「すでに厨房にある食材で、サステナブルな料理が作れないかと考えました」

老鶏は一般的に肉が硬く、食用としては扱われにくい。しかし一瀬さんは、その評価に疑問を抱いた。

「食用に向かないと言われる肉でも、中国料理の技法を使えばおいしくできる。それを示すことが料理人の役割だと思いました」

当初は平飼い鶏の肉を使う予定だったが、制作を進めるうちに「価値が低いとされてきた食材こそ料理で向き合うべきではないか」という考えが強まり、老鶏を主役に据えることを決めた。

完成した料理「雪花秋鶏~比内老鶏の雪花仕立て~」では、老鶏を一羽余すことなく料理に使用している。肉は主役の料理として調理し、卵は秋田の冬景色をイメージした雪花仕立てと中国料理の保存食である鹹蛋(塩漬け卵)に。内臓は凍鶏(鶏肉の煮凝り)に仕立て、骨や筋などの端材は透き通った清湯スープとして活用した。

中国料理の技法を用いて、老鶏一羽の命を余すことなく味わう料理となっている。

 

コンテストを通じて得た学び

今回の経験で最も変わったのは、料理を考えるときの発想の出発点だったという。
以前はまず肉料理を考え、必要に応じてベジタリアン向けの料理に置き換える発想だった。しかし今は、肉料理とプラントベースの料理を最初から並行して考えるようになった。

それは制限への対応ではなく、食べる人の多様性を前提に料理を設計するという意識の変化だった。
また、食材選びの意識も変わった。国産のたけのこなどに切り替えることで味の質が向上し、「お客様に安心して提供できる」という実感にもつながったという。

「未来のレシピコンテスト」の参加を考えている人へ

「サステナブルは、料理そのものに近い」

一瀬さんにとってサステナビリティとは、特別な概念ではない。端材をスープやタレに活かすこと、廃棄を最小限に抑えること、食材を丸ごと使い切ること。そうした行為は、もともと料理人が自然と向き合ってきた営みそのものだという。

「難しく考えすぎず、まずは自分が扱っている食材をよく知ること。捨てる部分を減らす工夫をすること。そういう小さな一歩から始められると思います」

未来のレシピコンテストは、その「当たり前」を言葉にし、改めて見つめ直す機会だった。料理人としての技術だけでなく、どんな価値観で料理と向き合うのか。その問いを、これからも厨房の中で更新し続けていく。

産卵を終え、食用として扱われにくい比内地鶏の老鶏を、中国料理の技法で一羽丸ごと味わう一皿。卵は秋田の冬景色に見立て雪花仕立てと鹹蛋に、内臓や端材は凍鶏や清湯スープとして構成した。伝統品種の生産持続とアニマルウェルフェアへの願いを込めて、老鶏の価値を料理で示している。