保護中: 「持続可能なサーモン」は存在するのか?
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スマトラ虎やクロサイを食べようなどと言うと、多くの人が呆れるでしょう。しかし、同様に絶滅の危機に瀕している魚介類を調達し、調理し、注文し、食べ続けている人も多くいます。この記事を書くにあたり、私たちは世界的ネットワークの専門家やシェフたちに、なぜこのようなことになっているのか、どのような魚介類を避けるべきか、そして手遅れになる前に適切な生息数に回復させるためにレストランがどのような役割を果たすことができるかについて話を聞きました。
世界の魚資源の3分の1以上が乱獲(魚の個体群が維持できないほどの速さで魚を捕獲している状態)されており、その中には特に深刻な状況の魚もいます。 最も深刻な危機に瀕している魚の種類と、それらをメニューから外すべき理由は以下のとおりです。
絶滅危惧種の魚介類の中で、最も選んではいけないものは?
「天然の魚介類の問題は非常に複雑で、何を選ぶのが正しいのかを判断することは難しい」と、海洋保護協会のシーフード・エンゲージメント・マネージャーであるジャック・クラーク氏は言います。「私たちは20年以上も前に、 Good Fish Guideを作成しました。これは、複雑な問題をわかりやすくし、どの魚がレストランで出しても大丈夫かを簡単に知ることができます。」 緊急に保護が必要な魚の種類をいくつかご紹介します。
ウナギ
「ヨーロッパウナギは、絶対に避けるべき数少ない魚介類のひとつです。パンダ以上に深刻な絶滅の危機に瀕しており、犯罪組織が密輸でヨーロッパから持ち出すウナギの金額は毎年30億ユーロに上ります」とクラーク氏は言います。「事態は非常に深刻で、科学者たちは種の生き残りのために、かつての生息地への補充や、回復、養殖のためであっても、一切捕獲してはいけないという、これまでになく厳しい勧告を出しています。」
世界的なウナギの生息数の激減は、乱獲、生息地の喪失、汚染、河川の堰き止め、気候危機という致命的な要因が重なったことによるものです。 1980年以降、シラスウナギの資源は95から99%減少したと推定されています。さらに、クラーク氏が指摘しているように、ウナギは密輸業者の格好の標的となっています。世界的な生息数減少と高い需要(特にアジア市場)に後押しされ、毎年推定100トンものウナギの稚魚がEUから密輸されています。
この絶え間ない需要を満たすため、現在、ヨーロッパ全体で年間およそ5,500トンの養殖ウナギが生産されています。しかし、ウナギのライフサイクルについてはほとんど解明されていないため、これらの養殖は野生の稚魚の捕獲に完全に依存しており、問題をさらに悪化させています。
ウナギは国際自然保護連合(IUCN)が管理する絶滅危惧種レッドリストに掲載されており、ヨーロッパウナギは絶滅危惧IA類(近絶滅種)、ニホンウナギとアメリカウナギは絶滅危惧IB類(絶滅危惧種)に分類されています。 持続可能なウナギの供給源が無いのに、ウナギは依然として世界中のメニューに並んでいます。 「今でもウナギを出す有名レストランはあります。文化的な価値を理由に食べるべきだという議論もありますが、絶滅しそうな動物を食べるような文化は、その動物を大切にしているとは言えません。私たちにできることは、ウナギを食べないようにすることです。レストランでのウナギの販売はやめるべきです。」とクラーク氏は言います。
サメ
フカヒレスープはアジアの多くの地域で消費されており、サメの生息数が70%も減少した主な原因のひとつであると推測されています。 フカヒレスープ用だけでも年間8,000万匹ものサメが殺されており、これには他の商業利用(肉、皮革、健康補助食品としての加工)や、偶発的な混獲により捕獲されたサメは含まれていません。フカヒレを獲る人々がよく用いる「フィニング」と呼ばれる漁法は、特に残酷なやり方で、ヒレを切り取ったサメは海に投げ込まれ、窒息や出血、捕食で苦しみながら死んでいきます。 サメの繁殖率は低いため、こうした行為によって生息数は大きく減少していきます。
ヒレを目的に乱獲されているサメのうち、最大30%は絶滅危惧種であり、その中にはアカシュモクザメやヒラシュモクザメも含まれています。 生息数に打撃を与えていることに加え、サメは食物連鎖の頂点に立つ捕食者であり、海洋生態系において重要な役割を果たしています。サメがいなくなれば、食物連鎖全体に影響が及びます。絶滅の危機に瀕しているこれらの種を守るため、ワシントン条約(CITES)によって取引が規制されていますが、これらのサメの乾燥フカヒレは今でも売買されています。中国が主な市場であり、乾燥フカヒレの約50%が香港を通じて取引されています。また、アメリカでもフカヒレは消費されています。
フカヒレは決して倫理的な選択肢ではありませんが、クラーク氏は全ての種類のサメをメニューから除外するわけではないと説明しています。「サメには何百もの種があります。そのほとんどは、食べることをお勧めしませんが、持続可能な漁業で捕獲されたサメもわずかながら存在します。そして、適切に管理された供給源があれば、私たちはそれを支援すべきです。MSCの認証を受けた米国産のツノザメに注目してください。その他のすべてのサメとエイについては、Good Fish Guideをご確認ください。」
クロマグロ
クロマグロは地球上で最も商業的価値の高い魚のひとつであり、その結果、世界中で乱獲による問題が続発しています。クロマグロの3種(大西洋クロマグロ、太平洋クロマグロ、ミナミマグロ)すべてが深刻な乱獲にさらされています。マグロは回遊魚であり、毎年数千キロもの距離を泳ぐため、国際的な規制は特に困難です。また、マグロは成長するのに時間がかかるため、資源の回復はより困難です。
太平洋クロマグロは、海洋保護協会により「避けるべき魚」としてリストアップされています。市場価値が非常に高かったため、過去に乱獲が深刻化したこの種は、現在の生息数も非常に低い水準にとどまっています。同様に、ミナミマグロも市場価値が高く、寿司や刺身として人気があり、1990年代半ばには絶滅寸前まで乱獲され、国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種リストに「絶滅危惧IA類(近絶滅種)」として記載されました。ミナミマグロは2021年にわずかな回復傾向が反映され、絶滅危惧IB類に分類が変更されましたが、この魚も現在、持続可能な供給はできていません。
「クロマグロの将来が心配です。寿司が世界的に人気を集め、マグロの需要は世界的に高まっています」と、東京の懐石料理「伊勢すえよし」の田中佑樹氏は言います。「絶滅危惧種であるにもかかわらず、需要が伸びているということは、生息数が減り価格が上昇しても、それを購入する人がいるということです。制限する規制がなければ、この状況は実質上、絶滅へのカウントダウンとなるでしょう。」
近年、大西洋クロマグロの数が増加している兆候が現れていますが、海洋保護協会が「最も選ぶべき魚」としてリストアップしている魚種ではありません。この回復はまだ始まったばかりであり、慎重に進める必要がありますが、クラーク氏は、大西洋クロマグロのケースは、私たちが本当に変化を起こすことができるという証になると指摘しています。「世界中の人々がこのために協力し、クロマグロをメニューから外しました。会議に出席し、ルールを策定してそれを守ることを約束しました。今では、沿岸で再びクロマグロを目にすることができるようになりました。英国では、多額の費用をかけてクロマグロを捕獲し、タグを付け、リリースしています。そうすることで、限られた数のクロマグロを水揚げして、私たちはそれを食べ、楽しむことができるのです。これは文化的な価値があります。
シングルスレッド・ファームのカイル・コナントン氏は、北カリフォルニアでのクロマグロの状況について次のように述べています。「天然クロマグロの漁獲は非常に問題が多いですが、天然クロマグロの個体群に補充するための養殖事業もいくつか行われています。場合によっては、天然資源の問題を解消するために取り組んでいる漁業者に、経済的実行可能性があるかもしれません。しかし、私たちは彼らの取り組みを注意深く見守らなければなりません。」
天然キャビア
MCSがGood Fish Guideで指摘しているように、天然のチョウザメのキャビアは非常に価値が高いため、違法漁業による取引が横行し、チョウザメは絶滅の危機に瀕しています。実際、WWFは、キャビアの需要の高まりによる生息地の喪失と乱獲により、地球上で最も絶滅の危機に瀕している生物群としてチョウザメを挙げています。「チョウザメは、昔からの生息域である河川流域および国々で、経済的にも文化的にも重要な存在です。私たちは、違法なキャビア取引への対策と河川環境を健全な状態に回復させることにより、チョウザメの生息数の回復を目指しています。」
天然のチョウザメの生息数が危険なレベルまで減少しているため、養殖キャビアが唯一の現実的な選択肢となっています。養殖チョウザメは孵化場で繁殖するので、親魚として天然のチョウザメに依存する必要がありません。しかし注目すべき点は、チョウザメの養殖は、生産されるタンパク質1グラムに対して、大量の魚粉や魚油をエサとして必要とするため、依然として非効率な資源利用であるということです。このような状況そのものが持続可能性の問題をはらんでいます。
地域レベルの懸念
「以上の例が世界規模で見た最悪の例の一部ですが、地域レベルで何が起こっているのかを考慮することも重要です。カリフォルニアでは、乱獲と採取により天然のアワビがすっかり減少してしまいました。」とコナントン氏は言い、これが地域の生態系に及ぼした波及効果について説明しています。「かつてアワビが生息していた場所にウニが進出して、コンブの群生地を破壊してしまいました。コンブの群生地は、ウニの天敵であるラッコの生息地でもあるのです。」ラッコが追い払われたことで、ウニの生息数はますます増加しています。「アワビの養殖業者が野生の個体群を補充してはいますが、ひとつの種の乱獲によって生じた複数の問題を解消するには、時間と労力がかかります。」
「問題は場所や年によって変わります。例えば、私たちは地元のサケやアメリカイチョウガニを毎年注意深く観察し、人間が与える影響がどのようなものかを詳しく理解しようと努めています。私は特に、アラスカと北海道のタラバガニの将来について懸念しています。私たちは、これらを注意深く見守る必要があります。」とコナントン氏は言います。
台湾の大渓漁港のホアン・シーヤン船長は、地元の海洋持続可能性への取り組みの中心人物です。海洋廃棄物船団のリーダーとして、ホアン船長は、近代漁法、海洋汚染、気候危機がもたらす有害な影響を目の当たりにしてきました。ホアン船長は、かつて台湾では一般的だった伝統的な魚種、例えば真鯛、サバ、ボラなどが、ますます減少していると語ります。
その他の人気の魚
絶滅危惧種としては、まだリストアップされていないかもしれませんが、人気の魚の多くが常に生存のための戦いをしていることを忘れてはいけません。香港のイーストホテルの料理長、グラハム・ロング氏は、「多くの人はフカヒレやマグロの状況については知っていると思いますが、人気の魚の天然物は、本当に厳しい状況にあります」と語ります。「大西洋オヒョウは長い間問題となっており、オヒョウのような成長の遅い魚種は、生態系の中で生息数を回復させるには長い時間がかかります。」
クラーク氏は、サプライチェーンを完全に、最新の状況で把握しておく必要性を指摘しています。「天然の大西洋オヒョウは絶滅危惧種です。Good Fish Guideではレッドリストに指定されており、食べてはいけません。しかし、養殖の大西洋オヒョウは、このガイドでは海洋環境にやさしいグリーンリストに指定されています。自分が購入した魚がどこでどのように捕獲または養殖されたのかを知ることは本当に重要です。」
気候危機そのものが、併発する問題を引き起こしています。北方に住む多くの魚種は、温暖化する海水による危機にさらされており、寄生虫や病気のリスクが高まっています。成魚まで生き延びる魚は少なくなり、捕獲される魚の多くは幼魚で、まだ子孫を残していない可能性もあります。つまり、次世代の魚が減っているということです。
これは貝類や甲殻類にも当てはまります。「魚介類は乱獲だけでなく、汚染や生息地の喪失の危機にも晒されています。魚介類の生息地がどこであるかを理解することはとても重要です。野生の魚介類や生息地の回復を支援する取り組みはいくつか行われていますが、まだやるべきことはたくさんあります。」とロング氏は言います。
なぜ今も絶滅危惧種の魚が食べられているのか?
問題の原因の多くは、消費者に対する情報不足にあります。クラーク氏が言うように、「もし近所の肉屋の天井からサイの半身がぶら下がっていたら、大騒ぎになるでしょう。でも魚屋で天然のオヒョウのステーキが売られていても、誰も気に留めません。」
「人々の心配は、魚よりも見た目が可愛らしいトラやパンダの方に向くのです」とロング氏は言います。「しかし、メディアでもあまりこの問題を取り上げないので、人々の関心が高まっていません。魚介類は、食品業界やホスピタリティ業界に携わる人々でなければ、一般の人々はあまり直接取り扱わないものです。スーパーでパック詰めされた状態で売られているか、あるいは皿に盛られて出てくるだけです。」日本の Pizzeria Gtalia da Filippoの岩澤正和氏も同意見です。「店頭には常にさまざまな種類の鮮魚が並んでいるので、そこに絶滅危惧種が含まれているとは想像しにくいのです。そのため、人々は無関心になります。」
田中佑樹氏は、日本の消費者の認識不足を指摘します。「日本は食材の豊富な国です。常にこの豊かさを享受してきたため、多くの人々は食糧危機や絶滅危惧種の存在に対する認識や関心が薄いのです。多くの場合、人々は特定の種が危機的な状況にあることを単に知らないか、あるいは、このような情報を積極的には探しません。」
食文化の影響もあるかもしれません。「日本では伝統や慣習を重んじる傾向が強く、時に環境の持続可能性を犠牲にしてしまうことがあります。日本には長い食文化の伝統がありますが、企業は往々にして環境影響を十分に考慮せず、商業的な食文化の宣伝を行なっています。」と田中佑樹氏は言います。
彼は、土用の丑の日に鰻を食べるという伝統を例に挙げ、それを非難することなく新しい道を見つけることが重要であると述べています。「こうした慣習を本質的に『悪い』と決めつけるのは発展的なやり方ではありません。伝統や文化に基づいた事業を展開する企業への敬意を持ち続けることが肝心であり、同時に、現在の環境状況を踏まえて、こうした問題にどう対処するかについて継続的に議論を行うことが重要であると考えています。」
問題の根本に近い部分の理由としては、法整備の欠如を憂慮すべきです。「漁業者がこれらの種の捕獲を許可され、供給業者が販売を許可されていることが大きな問題です。いったん市場に出回れば、何も知らない消費者が購入します。問題は規制の側面にあり、ビジネス機会が減少する中で、漁業者は資源が回復不能な状態になるまでこれらの魚を販売し続けるでしょう。だからこそ、規制が必要なのです。各国が協力しなければなりません。もしトラの肉を買える状況にあれば、それを食べる人がいないとは言い切れません。方向転換をするには、入手を制限することが必要です。」とコナントン氏は言います。
レストランはどのようにして適切な生息数の回復に貢献できるか?
台湾のレストラン業界でサステナビリティを積極的に推進する中心人物の一人、San Shi Zhi Juのシェフ、チャン・ウェンテン氏は、シェフやレストラン経営者は、健全な地域生態系を守り、乱獲された魚種への負担を軽減する魚介類を積極的に選ぶべきだと述べています。業界内のこうした意識の変化は、より幅広い消費者の意識向上と責任ある魚介類消費の推進力となるでしょう。
解決策に貢献するために、実践できる行動をいくつかご紹介します。
最初にすべきことは、絶滅危惧IB類および絶滅危惧IA類に指定されているすべての種をメニューから外すことです。「絶滅の危機に瀕して初めて『この魚は持続可能だろうか?』と考え始めるようではいけません。もっと早い段階で対処すれば、私たちは多くの問題を避けることができるのです。つまり、持続可能な漁業や養殖業からの魚介類だけを食べることです。MCSでは、レストランに対して『Good Fish Guide』で1~3の格付けを受けた魚介類を調達することを推奨しています。そうすれば、海洋環境に良い選択肢が広がります。ガイドをチェックして、どのような選択肢があるか見てみてください。きっと驚く発見があることでしょう。」とクラーク氏は言います。
1~3の格付けを受けた魚介類のみの使用は、すぐには始められないかもしれませんが、レッドリストと格付けされた魚介類をメニューからすべて取り除くことは極めて重要です。「これはお客様から最低限期待されることです。外食産業は、この点において非常に重要な役割を担っています。私たちは、皆さんの美味しい料理を否定するような野暮な存在ではありません。私たちは、かつてあった料理をメニューに復活させようとしているのです。ただ、それには時間と、レストランからの協力と支援が必要です。問題を再定義し、料理における大胆な挑戦として持続可能性を捉えましょう。」
すべての魚介類の資源量は、具体的な種、場所、時期によって異なる可能性があることを認識してください。 ホスピタリティ業界では、調達戦略を実行するためには、透明性の高いサプライチェーンを構築し、責任ある漁業者のみを支援し、専門の第三者機関による認証を利用することが不可欠です。 「私たちは消費者に正確な知識を提供する必要があります。そのためには、漁業者までさかのぼってサプライチェーンに関わる人々とのつながりを築くことが重要です。」と岩澤正和氏は言います。
「人々は(私も含め!)外食する際に持続可能性のことなど心配したくないのです。外食は楽しむためのものであり、面倒なことや、あれこれ質問をしたくはありません。しかし、現時点では、お客様はそのようなことをする必要があるでしょうか? ほとんどのお客様は、絶滅危惧種がテイスティングメニューに使われているかどうか確認しなければならないとは考えていません。サプライヤーにそうした質問を投げかけるのは、企業やシェフの責任です。」とクラーク氏はいいます。
コナントン氏も同意見です。「シェフやレストラン経営者が、提供する食材や、それらが引き起こす可能性のある被害について勉強することが重要です。正しい選択を行い、絶滅危惧種を買い求めることをやめさせなければなりません。もし私たちが皆、より良い選択肢をサプライヤーから買えば、乱獲の危機に瀕している(または、すでに取り返しのつかない状況になっている)種への負担をいくらか軽減することができるでしょう。」
「絶滅は問題のひとつにすぎず、私たちはその根本的な原因に目を向けなければいけないと認識することが重要です。レストランは、さまざまな漁法について知り、考慮しなければなりません。例えば、網を使った漁の全てに問題があるのでしょうか?底引き網漁はどれほどの環境影響があるのでしょうか?定置網の網目をもっと大きくして、小型の魚が逃げるようにすれば、生態系の損失をどれほど防ぐことができるでしょうか?さまざまな漁法と、それらが環境に与える具体的な影響を理解することが、魚介類の調達の際に正しい判断を下すための鍵となります。」 と田中佑樹氏は言います。
2007年に台湾の持続可能な漁業を推進する目的で設立された社会企業、Rising Oceanのゼネラルマネージャーであるスー・チェンユー氏は、これに同意し、購入する魚介類がどこから来ているかを正確に理解することの重要性を強調しています。「『漁港直送』と表示された魚介類が持続可能な方法で調達されたものだとみなすだけでは不十分です。私たちは、生産方法(天然か養殖か)、捕獲日(包装日や入荷日ではなく)、正確な魚種、そしてできれば漁船や養殖場について、手抜きをせずに調べる必要があります。地元で生産され、合法的に調達された魚介類を支援することは、私たちができる最も効果的な貢献方法のひとつです。現状に甘んじることが、持続可能性にとって最大の敵です。」
持続可能性を確保する上で最も信頼性が高く、簡単な方法は、専門家に確認することです。購入する魚介類の持続可能性を確認するために利用できる、優れた情報源をいくつかご紹介しましょう。
これには各地域のソリューションも含まれます。例えば、台湾では大渓漁港がオーシャン財団と提携し、持続可能性イニシアティブであるオーシャン・ハート認証を推進し、手始めに桜エビから取り組んでいます。この認証は、持続可能な資源の確保、海洋環境の保護、効果的な漁業管理の実施という3つの基本原則に基づいています。これらの原則に沿った企業の社会的責任を強調することで、この認証は特定の地域に特化した持続可能な水産物の選択に関する指針を提供しています。
4.メニューをさらに多様化する
ロング氏は次のように述べています。「私たちができることのひとつは、認知度は低いがリスクの少ない魚種の利用を推進することです。これらの魚は、味も良いのですが、あまり知られていないのです!一般的に、人々は知らないものを注文することに不安を感じますが、それを説明するのはホスピタリティ業界の責任です。例えば、スケトウダラはタラの代替として素晴らしい食材ですが、それを知らない人がたくさんいます。」
チャン料理長は、レストラン経営者に対して、輸入魚や絶滅危惧種よりも地元で獲れた絶滅の危機に瀕していない魚種を優先的に使用し、持続可能な漁業に取り組む地元の漁業者のコミュニティを支援するようアドバイスしています。
培養魚肉は、近い将来、絶滅危惧種の魚介類を供給する持続可能な方法となるかもしれません。高価値の魚介類の代替品となる培養魚肉を製造する企業、Forsea Foodsは現在、幹細胞から生成したウナギ肉の開発に取り組んでおり、2026年までに欧州と日本をターゲット市場として発売する計画です。一方、他の企業もクロマグロの代替品となる培養魚肉の開発を進めています。培養魚肉に対する消費者の需要はまだ大きくありませんが、近い将来、レストランが天然の生息数を減らすことなく特定の魚種をメニューに載せることができるようになるかもしれません。
シェフのチャン・ウェンテン氏は、レストランには、持続可能な魚介類の消費を促進し、提供する魚介類の持続可能性について、消費者に啓発する責任があると明言しています。コナントン氏も同意見です。「私たちは自分たちの立場を活用し、お客様やスタッフに対して啓発する必要があります。」クラーク氏は、レストランがスタッフに海洋保護協会のSchool of Fishへの登録を勧めています。「これは、簡単な手順で魚介類の調達に関する基本情報をすべて網羅しています。メニューをよく確認し、すべての魚介類がGood Fish Guideに載っているか確認してください。詳細がわからない場合はサプライヤーに問い合わせるか、計画の策定に助けが必要であれば私たちにご連絡ください。」
【参照サイト】 https://thesra.org/news-insights/insights/its-time-to-take-endangered-seafood-off-the-menu/
一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会(SRAジャパン)は、2024年11月11日(月)、『「FOOD MADE GOOD サステナブル・ディナー 「セミナー&一夜限りのコラボディナー 鶴岡の旬をいただく」』と題しまして、山形県鶴岡市の出羽三山神社、羽黒山参籠所「斎館」にて、食のSDGs/サステナビリティに関するセミナー+4名のシェフの方々の提供によるサステナブルな会食のイベントを開催いたします。
SRAジャパンでは、FOOD MADE GOODスタンダードというグローバルな基準の3つの柱「調達」「社会」「環境」を掲げ推進しています。
そのグローバルな基準を踏まえた上で、今回はサステナビリティの取り組みを山形県鶴岡市の地産によるサステ案ブルな取り組みの下提供されている食材を使用し、地方だからこそ実施することができる、サステナビリティの取り組みの実践の部分をお伝えさせていただきます。
また今回は特別にSRAジャパンのプロジェクトアドバイザーの杉浦仁志シェフが、山形県鶴岡を訪問しプラントベースの食事を提供するとともに、山形県鶴岡市のSRAジャパン加盟店であるフレンチレストラン「La Naturalité -ナチュラリテ-」の遠藤和彦シェフ、また出羽三山神社 羽黒山参籠所 斎館の料理長 伊藤新吉氏、庄内ざっこ 料理人 齋藤翔太氏からの庄内の食材を使用したお料理を召し上がっていただきながら、世界基準のサステナビリティについて考え、料理人と生産者、消費者が集い、そしてさらなるサステナビリティの推進を考える機会として御参加いただければ幸いです。
【お申し込み】:https://sra-japan-20241111-tsuruoka.peatix.com/view
【こんな方におすすめ】
●飲食店、食流通、生産者など、飲食業界に携わる方
●食に関するサステナビリティを学び、店舗やサービスの付加価値を高めて行きたいと考えている方
●飲食ビジネスに、サステナビリティを取り入れるために、なにから手をつけたらよいのか知りたい方
●食に関するサステナビリティを実践していて、さらに先進的な事例を学びたい方
【イベント概要】
● 開催日時:2024年11月11日 17:30~20:30
● 開催場所 出羽三山神社 羽黒山参籠所 斎館
● 実施時間 17:30 概要説明とセミナー、18:00~20:30 食事提供
● 内容:
1.セミナー+会食(羽黒山参籠所 斎館) 17:30~20:30
(1) 食のSDGs/サステナビリティとは(セミナー)
SRAジャパンが飲食店/レストランに提供しているサステナビリティ評価の大項目「調達」「社会」「環境」に基づく項目について、代表理事の下田屋から解説をさせていただきます。
(2) 料理7皿提供(鶴岡のサステナビリティに配慮した食材を使用)
①前菜 (担当:出羽三山神社 羽黒山参籠所 斎館 料理長 伊藤新吉氏)
②前菜2 (担当:SRAジャパン プロジェクトアドバイザー 杉浦仁志氏)
③お椀 (担当:庄内ざっこ 料理人 齋藤翔太 氏)
④プラントベース料理 (担当:SRAジャパン プロジェクトアドバイザー 杉浦仁志氏)
⑤魚料理 (担当:庄内ざっこ 料理人 齋藤翔太 氏)
⑥肉料理 (担当:La Naturalité -ナチュラリテ- オーナーシェフ 遠藤和彦 氏)
⑦デザート (担当:La Naturalité -ナチュラリテ- オーナーシェフ 遠藤和彦 氏)
※ 16時より出羽三山神社の正式参拝を行いますので、お時間許す方はあわせてご参加ください
【当日お料理提供者】
●SRAジャパン・プロジェクトアドバイザー 杉浦 仁志 氏
●La Naturalité -ナチュラリテ- オーナーシェフ 遠藤和彦 氏(SRAジャパン 加盟店)
●出羽三山神社 羽黒山参籠所 斎館 料理長 伊藤 新吉氏
●庄内ざっこ 料理人 齋藤翔太 氏
【セミナー提供者】
●一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会 代表理事 下田屋毅
【お申込み】Peatixからお申込みをお願いいたします。
【会費】お料理 一般 10,600円(Peatixによる支払い)
鶴岡市民割引き 8,000円(当日現金支払い)
※飲み物は、当日キャッシュオン(代金引換)でのお支払いになります。
【キャンセルポリシー】
3日前まで キャンセル料なし、 2日前からキャンセル料 50%、 当日キャンセル料 100%
【お申し込み:https://sra-japan-20241111-tsuruoka.peatix.com/view
【当日お料理提供者プロフィール】
杉浦 仁志 氏
SRAジャパン・プロジェクトアドバイザー
2009年渡米。料理業界のアカデミー賞とされる「ジェームス・ビアード」受賞シェフであるジョアキム・スプリチャル氏のもと、A・NYCのミシュラン星つきレストランで感性を磨き技術を習得。2014年から2年連続で、ニューヨーク国連大使公邸で開催された、安倍元総理はじめ世界の要人が集った国連日本代表団レセプションパーティーにて、日本代表シェフを務める。国内外で培った国際的な食経験を通じ、日本におけるヴィーガン・プラントベース調理の第一人者として活躍。多数の受賞歴を持つ。現在「Social Food Gastronomy(ソーシャル・フード・ガストロノミー)」を提唱し、より多角的な視野から社会貢献とイノベーションを国際舞台で展開。2050年に向けた次世代のシェフモデルとして注目される。
遠藤和彦 氏
La Naturalité -ナチュラリテ- オーナーシェフ(SRAジャパン加盟店)
山形県出身。都内のフランス料理店修行、2004年に渡仏。
帰国後鶴岡市内のオーベルジュの料理長を経て2021年にLa Naturalité -ナチュラリテ-をオープン。
伊藤 新吉 氏
出羽三山神社羽黒山参籠所 斎館 料理長
鶴岡市出身。出羽三山神社羽黒山参籠所 斎館の料理長として、ここにしかない山伏精進料理を約30年に渡り提供している。
その精進料理は、フランスやハンガリーでも高く評価される。
また、国内においては、辻調理師専門学校をはじめとし、若い世代への精神文化の継承もおこなっている。
齋藤翔太 氏
庄内ざっこ 料理人
1983年生まれ。山形県鶴岡市出身。日本料理店「庄内ざっこ」料理人
「第1回鶴岡№1次世代料理人決定戦」にて初代グランプリを受賞。また生産者と料理人で組織する団体「サスティナ鶴岡」の代表。ぐるなびが主催した「RED U-35 spinoff 食のサステナブルAWARD」にて金賞を受賞。農林水産省主催、第8回食育活動表彰にて農林水産大臣賞を受賞
【セミナー登壇者プロフィール】
下田屋毅
一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会 代表理事
2010年日本と欧州とのCSR/サステナビリティの懸け橋となるべくSustainavision Ltd.を英国に設立。ロンドンを拠点とし日本企業に対してサステナビリティに関する研修、関連リサーチを実施。2012年より英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー資格講習を日本にて定期開催。2018年3月一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会を立ち上げ、フードシステムを持続可能にするべく飲食店・レストランとの協働、また生活者の意識啓発と行動変容を促す活動を行っている。
【お申し込み】:https://sra-japan-20241111-tsuruoka.peatix.com/view
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