未来のレシピコンテスト2025 ファイナリスト
宮川 勇気 みやがわ ゆうき(Cafémozart Theo)

調理師専門学校卒業後、東京の赤坂四川飯店や渋谷のスーツァンレストラン陳で研鑽を積む。結婚を機に宮城へ移住し、現在はカフェ業態の店舗で商品開発や料理研修を担当。伝統的な中国料理の技法を軸に、地域食材を生かした表現に取り組む。

 宮川勇気さんは現在、宮城県でカフェ業態の店舗に勤務しながら、料理の商品開発やスタッフ向けの料理研修を担当している料理人だ。

調理師専門学校を卒業後、中国料理の道を選び、東京の四川飯店をはじめとする系列店で約8年間修業を積んだ。高級中国料理店で培った技術と経験を、より多くの人に届けたいという思いから、結婚と子育てを機に宮城へ移住。現在は、家庭との時間を大切にしながら料理と向き合っている。

現職では、既存のカフェメニューに中華の要素を取り入れる提案を行い、エビチリや油淋鶏などを“カフェらしい見せ方”で提供するなど、新しい表現にも取り組んでいる。将来的には、自身の店を持つことも視野に入れ、「中華カフェ」というコンセプトを描いている。

 

■ サステナビリティとの関わり(参加前)

 未来のレシピコンテストに参加する以前、宮川さんにとって「サステナビリティ」は言葉として知っている程度のものだったという。

ただし、前職で生産者を訪ね、直接食材を仕入れるシェフの姿を間近で見てきた経験から、「良い食材に触れること」の重要性は感覚的に理解していた。

今回のコンテストでは、「ベターミート」「プラントベース」というテーマをきっかけに、輸送コストや地域性といった観点から改めて食材を見直した。東北に暮らす料理人として、「地元の食材を使うこと」が自然な選択肢として浮かび、山形県の庄内鴨にたどり着いた。

 

■ レシピ制作でぶつかった壁

最も難しかったのは、「食べてもらえない料理を、言葉だけで伝えること」だった。
今回のコンテストは実食審査がなく、レシピと文章のみで評価される。そのため、味や香り、食感、背景にある思いをどう言語化するかに強いプレッシャーを感じたという。

また、中国料理は油分が多く、こってりとした印象を持たれがちだ。

「中国料理とサステナビリティをどう結びつけるか」は、制作を通して常に意識していた葛藤でもあった。

 

コンテストを通じて得た学び

 提出した作品は、「庄内鴨を使った2種の味わい 七つ森ふもと舞茸のXO醬を添えて」

一貫生産と地域内循環に取り組む山形県・三井農場の庄内鴨を、ロースとササミという異なる部位で構成し、中国四川料理の名菜である樟茶鴨(スモークダック)と灯影牛肉(麻辣ビーフジャーキー)から発想を得て、一皿に仕立てた。

付け合わせには、宮城県の七つ森ふもと舞茸を使ったプラントベースのキノコXO醬を添え、肉と植物性素材の対比も意識している。

このプロセスを通じて、宮川さんは「自分の料理が形になり、他の料理人に届いた」という確かな手応えを感じたという。

また、文章で伝える経験を重ねたことで、「思いを言語化する力」が以前より身についたと感じている。

 

■ 今後の展望

今後は、より多くのコンテストに挑戦しながら、自身の料理の精度を高めていきたいと考えている。

最終的な目標は、自分の店を持つこと。中華料理の技術をベースに、カフェという開かれた場で、多くの人に料理を届けることを思い描いている。

また、将来的には新潟への帰郷も視野に入れつつ、料理人としての経験を積み重ねていきたいという。

 

「未来のレシピコンテスト」の参加を考えている人へ

「とにかく、やってみることが大事だと思います」


宮川さんはそう語る。


コンテストでは、通る作品もあれば、通らない作品もある。しかし、その差を考え続けること自体が、料理人としての成長につながるという。


「ダメだったときのほうが、印象に残るし、次につながる。だからこそ、挑戦する数は多いほうがいいと思います」


未来のレシピコンテストは、結果だけでなく、考え、調べ、言葉にする過程そのものが糧になる場だったと振り返る。

『庄内鴨を使った2種の味わい 七つ森ふもと舞茸のXO醬を添えて』山形・三井農場の庄内鴨を、ロースとササミの二種で表現。四川料理の樟茶鴨と灯影牛肉から着想を得て構成し、宮城・七つ森ふもと舞茸のキノコXO醬を添えた。東北の食材と循環の取り組みを、中国料理の技法で昇華した一皿。