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英国SRAでは、グローバルに、食品、サステナビリティ、ホスピタリティに関する「一口ニュース」を隔週でお届けしています。

  • 本日のアミューズ
    ● 地球の丸焼きで記録的な高温となる1週間
  • ● 英国のホスピタリティ業界に緊急対策を求める新たな報告書
    ● グリーンウォッシュはついに時代遅れになった?
    ● 2030年までのEU食品廃棄物目標
    ● 消費者の選択にレストランが影響を与えるという新たな研究結果
    ● 持続可能なプラスチックの代替品の可能性

そして、メインディッシュは・・・

地球の丸焼きで記録的な高温となる1週間

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、世界の平均気温を非公式に分析した結果、7月5日(水)までの7日間がこれまでの記録で最も暑い週であったことが分かり「気候変動は制御不能である」と発言しました。

メイン大学の Climate Reanalyzerによると、この1週間の平均気温は、過去44年間の記録を0.04℃上回り、最も気温が高い週となりました。

世界気象機関、気候局ディレクターのクリストファー・ヒューイット教授は、「我々は未知の領域におり、エルニーニョがさらに発達して、これらの影響が2024年まで続くのであれば、これまでの記録がさらに更新されると思われます。これは地球にとって懸念すべきニュースです」と発言しました。

この気候変動の危機を食い止めるには、あらゆる分野で思い切った行動を取ることが必要であり、私たちに残された時間は少なくなってきています。6月末に開催された 気候イノベーション・フォーラム で、ロンドン市長のサディク・カーン氏は、地球温暖化を1.5℃以内に抑えるまでに、あと6年と24日しかないことを警告する象徴として、気候時計のスイッチを入れました。このニュースレターをお届けしている時点では、あと6年と2日に迫っています。

先週、ウィンザー城でナイトの称号を授与されたCOP26前議長のアロック・シャルマ卿は、世界は気温上昇を抑制する方向には進んでいないと強調しました。「現実問題として、地球の気温上昇を1.5℃以内に抑えるためには、我々はもっと多くのことをしなければなりません。また、各国はすでに約束した取り組みをさらに加速させなければなりません。」

これから6年と2日の間に、私たちがいかに行動するかによって、今生きているすべての人間、そしてこれから生まれてくるすべての人間にとって、将来の生活がどうなるかが決まります。今こそ、すべての政府、政策立案者、 産業界 が立ち上がる時です。それに関連して、このようなニュースもあります・・・


英国のホスピタリティ業界はネットゼロの未来のために緊急対応をすべき

新たに出された業界レポート、 Race to Net Zeroによると英国のホスピタリティ業界は、低炭素経済への移行に向けて早急に対応をしなければなりません。企業、政府、投資家のすべてが、この変化を加速するために早急に行動する必要があります。

英国の温室効果ガス排出量のうち、ホスピタリティ業界からのものは最大15%と言われていますが、コロナ禍や英国のEU離脱の影響、高インフレ、エネルギー価格の上昇、生活費高騰など、ネットゼロへの道のりは多くの障害に直面しています。

Net Zero NowとClarasysがスポンサーとなり、ホスピタリティ企業が共同で資金提供して作成されたこのレポートは、このセクターが取り組むべき主な優先事項を特定しています:ネットゼロの商業的事例をよりよく理解すること、ネットゼロの投資にもっと多くの資本を配分すること、バリューチェーン全体の協力体制を改善することです。

また、エネルギー効率や廃棄物削減のような、小規模でも成果がすぐに見える取り組み実施することで、かなりの量の排出削減が達成できることを強調し、我々サステナブル・レストラン協会や、ゼロ・カーボン・フォーラム、ネットゼロ・ホスピタリティ・イニシアティブなどが、レストランが簡単に入手できる資料を紹介しています。

このレポートは、事業者、政府、業界団体、サプライヤー、投資家に対し、具体的な行動を呼びかけています。ホスピタリティ事業者に求められる行動は以下の通りです:
● チームやステークホルダーとともにネットゼロ目標を設定すること。
● 各課題を解決する最適な方法を見つけるために、協力し、ベストプラクティスを共有すること。

Peach Pubsの創設者であり、Race to Net Zero共同グループの立役者であるヘイミッシュ・ストッダートはこのように言いました。「私が1店目のパブをオープンしたのは、気候変動は人為的なものであると世界の科学者が結論づけた直後でした。それから20年、排出量は増え続けています。英国政府は2050年のネットゼロ目標を掲げており、論点は、ホスピタリティ業界がネットゼロを実現するかどうかではなく、いつ実現するかということになっています。大胆に前進をしているホスピタリティ企業がいくつかありますが、私たちはさらに迅速に行動しなくてはなりません。 これは業界にとって、コスト削減、顧客の取り込み、将来の規制から身を守るためのビジネスチャンスです。 私たちはそのチャンスをつかまなければいけません。」

Net Zero Now のエグゼクティブ・ディレクターであるサイモン・ヘプナーは、次のように言っています。 「英国のパブ、バー、レストランは、私たちのコミュニティや交流の中心であり、私たち全員がより持続可能な経済への道を歩む上で、非常に大きな影響力を持っています。 Net Zero Nowは、コカ・コーラ・ユーロパシフィック・パートナーズやペルノ・リカールとともに、ネット・ゼロ・ホスピタリティ・イニシアチブを立ち上げ、このセクターのすべての事業者が気候変動に取り組み、結果的にビジネスの成功に繋げることができる支援を提供しています。私たちは、各企業がこの取り組みに参加することを強く求めます。」

 

グリーンウォッシュはついに時代遅れになった?

欧州委員会が提案した「グリーンクレーム指令 」(「環境にやさしい」、「エコ」、「自然」といった誤解を招くような企業の主張、さらにはカーボンオフセット制度のみに基づく環境訴求を禁止する新たなルール)により、グリーンウォッシュは急速に過去のものとなりつつあります。 

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス&ポリティカル・サイエンスにおける、気候変動と環境に関する研究機関、グランサム・リサーチ・インスティテュートの 新しい研究報告 によると、企業に対するクライメートウォッシュ(気候変動に配慮しているように見せかける表面だけのアピール)訴訟の増加によって、この状況はさらに悪化しています。著者のジョアナ・セッツァーとケイト・ハイアムは、ここ数年、このような訴訟が爆発的に増加していると説明し「近年発生しているクライメートウォッシュ訴訟の中で最も顕著なものは、企業の気候変動に関するコミットメントが適切な計画や方針に裏付けられていない場合、その真実性を争うものになっています。」

これまでずっと気候危機は、口先だけの言葉ではなく、実際的な行動を必要としてきました。意思決定をする際に、持続可能性がかつてないほど重要な要素となっている今、消費者も同じことを求めています。あらゆる業界において、企業が現実的、具体的かつ測定可能 な取り組みを行い、そのことがオープンで透明性のある形で報告される必要があります。

 

2030年までのEU食品廃棄物目標

持続可能な開発目標12.3に対するEUの進展を加速させるため、欧州委員会は、「廃棄物枠組み指令の改訂案」 の中で、加盟国が2030年までに達成すべき法的拘束力のある食品廃棄物削減目標を提案しています。

具体的には、加盟国は2030年末までに食品廃棄物を削減するために必要な措置を講じることが求められています:
● 加工および製造において10%の削減
● 小売と消費において合算で30%の削減(人口一人当たり)。ここでいう「消費」には、一般家庭だけでなく、レストランなどの外食産業も含まれる。
このことは、英国においても同様の目標を実施するよう圧力がかかりそうです。

この提案は、2027年末までに加盟国の進捗状況を公式にレビューすることを定めており、EUがさらに高い目標を設定できることが証拠で示されれば、目標を引き上げる可能性もあります。この新たな目標であっても、まだSDGs12.3で規定されている50%削減には届かない状況であることを考えると、これは取り組む意味があります。

もしあなたのレストランが食品廃棄物の測定と削減に取り組んでいないのであれば、今こそ始める時です。この法律が施行されれば、あなたのお店は時代をリードすることができるだけでなく、食品廃棄物を削減することで、注文や廃棄にかかるコストを節約し、厨房の創造性が高まり、環境意識の高い消費者へのセールスポイントになるなど、ビジネスにも実益をもたらすことができます。

今こそ、メニューに変化をもたらすべき時

「選択の錯覚: あなたが昼食に食べるものはすでに誰かが決めている」というタイトルの新しいレポート では、消費習慣が個人の選択によるものではなく、食環境によるものであることを強調しています。

Eurogroup for Animals、欧州消費者機構(BEUC)、European Public Health Alliance が参加する「Put Change on the Menu(メニューに変化を)」と名付けたプロジェクトの一環として作成したこの報告書は、食環境が消費者の選択に多大な影響を及ぼしていることを示しています。特に、現在の食環境によって、消費者は不健康で持続可能でない食品を消費する方向に押しやられていると指摘し、政策立案者に対し、植物由来の食材を多く使い、肉は「より少なく、より良い品質のもの」を使う健康的な食生活を、消費者がもっと簡単に選択できるようにするよう求めました。

ここ数週間で発表された、複数の報告書や研究結果では、食品業界が消費者の選択に及ぼす影響力について、そして、世界の食生活がより健康的で持続可能ものになるよう良い変化をもたらすために、この影響力をどう活用できるかが強調されています。 さらに多くのホスピタリティ企業がこの影響力を認識していけば、次に考えるべき問題は、それをどのように行使するかということです。先週の記事でも議論したように、力とは責任をもつことです。私たちは、レストランやあらゆるタイプの食環境において、美味しく、栄養があり、環境的に持続可能な料理をメニューの中で優先する必要があります。

締めのデザート

持続可能なプラスチックの代替品の可能性

香港中文大学(CUHK)の科学者チームが、バクテリアが生成する有機化合物であるバクテリアセルロースを利用して、食べても無害で生分解可能な新素材を開発しました。チームによれば、これはプラスチック包装の代替となる可能性があるということです。

この研究の責任著者であるCUHK 化学科のトー・ガイ教授の説明によると、 バクテリアセルロースはその高い汎用性により、プラスチック包装の代替素材になる可能性があるとのことです。この素材は、水に対する安定性、透明性、耐油性があることが示されました。また、このフィルムは1~2ヶ月で完全に生分解可能なことも分かりました。これは、他のバイオプラスチックよりもはるかに早く、しかも処置は不要です。

植物由来のセルロースとは異なり、バクテリア・セルロースは作物を収穫しなくても製造できるため、より持続可能性が高くなります。「この製造方法は森林伐採や生息地の減少などを引き起こさないため、バクテリア・セルロースは植物セルロースに代わる、より持続可能で環境に優しい素材となります。この素材は食べても無害であり、ウミガメやその他の海獣が摂取しても安全であり、海洋に水生毒性をもたらすことはありません」 とガイ教授は説明しています。