記事は英国SRAのニュースを翻訳し抜粋したものです。

どの店でどんな料理を食べるかを決める時に、「持続可能性を意識している」と答えた消費者は70%に上ることがイギリスCGAの調査で明らかになりました。このような風潮の中で、ホスピタリティ業界が持続可能性の実現のために懸命に努力することは、業界すべてのリーダーにとって喫緊の課題です。 しかし、食品廃棄物、CO2排出量、プラスチック使用量など、自社店舗内の課題は山積みです。さらに広範囲のサプライチェーンの持続可能性について考えることなど、途方もない作業に感じても無理はありません。

しかし、顧客が重要視するのは、自社店舗だけでなく事業のあらゆる側面、つまりさらに広範囲のサプライチェーンも持続可能であることです。Co-opのエシカル消費レポートによると、2010年から2020年の間に、エシカルフードやドリンクへの支出は54億ポンドから141億ポンドに増加しており、英国の消費者の中で持続可能な消費への関心が高まっていることを示しています。この関心の高まりはホスピタリティ業界でも顕著になっており、CGAFood Insights Reportによると、69%の消費者が、倫理的に調達された飲食物を重視すると回答しています。

倫理的な調達によって、意識の高い消費者にアプローチできる機会が得られるだけでなく、私たちの大切な食材や飲料を生産する農家や労働者を手厚くサポートすることは、レストラン事業の安定性にとっても有効です。 例えば、最近の研究では、現在コーヒー豆が栽培されている農地の約50%が、気候変動により2050年までに栽培に適さない土地になる可能性があると言われています。気候変動への対策を取ると同時に、農家がこの状況に適応できるようにするサポートがすぐにでも必要です。

新型コロナや世界的な生活費高騰によって、農家が直面する困難はさらに深刻化し、生産コストは事業の継続を難しくしています。コーヒー生産者の平均年齢が50歳を超えるなど、若手世代の農業離れに加え、気候変動の影響があり、企業が依存する生産物の将来的な安定供給に深刻なリスクがあります。気候変動は、私たちにとって非常に大切な食材と、それらを生産する農家や農業従事者の生活を脅かす脅威となっています。

会社として、サプライチェーンの農家や生産者に協力できること

生産者を支援するために最初にすべきことは、自社のサプライチェーンにおけるリスクを理解することです。フェアトレード財団は最近、世界初のリスクマップというものを発表しました。これは、様々な生産物の生産者団体の意見を聞き、フェアトレード財団が活動する国で最も大きな人権リスクと環境のリスクを包括的に示したものです。

 





フェアトレードが作成したリスクマップ

 自社店舗でフェアトレード製品を使用したり、個人的にフェアトレードの原材料や製品に切り替えることで、特定されたリスクに取り組むサプライチェーンの農家や労働者、そのコミュニティの支援をすることになります。 フェアトレードの生産者は、一連の社会的、経済的、環境的基準に従って生産しています。これらの基準により、彼らは環境的に持続可能な手法を用いて生産した生産物をフェアトレード製品として販売することができ、より公正な価格と様々な恩恵を受けることができます。フェアトレード認証の製品とそうでない製品の消費者価格は多くの場合、大きな差はなく、フェアトレード・バナナの価格はたった1ポンド高い程度ですが、地域社会への影響は生活を変えるほどの大きな違いを生みます。

 

他に知っておくべきこと

フェアトレード製品の種類は非常に幅広く、イギリス国内だけでも6,000点以上が認証されています。コーヒー、バナナ、チョコレートが有名ですが、南アフリカや南米産のフェアトレードワインや、スタッフの制服にフェアトレードコットンを用いるなど、調達にサステナビリティを取り入れる機会はたくさんあります。

フェアトレード製品を購入すると、生産者は「フェアトレード最低価格」によって保護されます。これは、フェアトレードを通じて製品が販売された時に生産者に支払われる最低価格のことです。 また、農家はフェアトレード・プレミアムを受け取ることができます。このプレミアムは、地域医療や住宅の改善など、農家が選択した事業、社会、環境プロジェクトに投資され、農家の収益を他の基本的なニーズに回すことができます。フェアトレード製品を仕入れるというシンプルな選択を通じて、会社としてこのようなプロジェクトに貢献することができるのです。

最後に、何を購入するか決める時に持続可能性を意識する倫理的意識の高い消費者について振り返ってみましょう。CGAによると、消費者の53%が外食する際に品質が高くサステナビリティの賞を受賞しているものを選ぶことが多いと回答し、消費者の40%が飲食店はサステナビリティの情報提供についてもっとして欲しいと考えています。フェアトレードは世界で最も信頼され、認知されている倫理的認証であり、英国での認知度は87%で、78%の人がフェアトレードに関心があると答えています(KantarQ4 2022)。サプライチェーンに実際的なインパクトを与え、取り組みについてシンプルで効果的な方法で消費者に伝えたいホスピタリティビジネスの事業者にとって、フェアトレードは最適な選択肢となります。

(ウィル・ブラウニング、フェアトレード財団パートナーシップ開発責任者)

日本サステイナブル・レストラン協会では、今年も5月にフェアトレードラベルジャパンのフェアトレード・ミリオンアクションキャンペーンに特別協力をしています。このキャンペーンは、我々のサステナビリティの推進項目「世界の農家とサプライヤーの支援」に貢献することになります。是非キャンペーンへの参加を通じてこの項目への貢献を進めてください!

【参照サイト】https://foodmadegood.jp/fairtrade-million-action-campaign2023/