SRA-Japanでは、生産者と飲食店レストランとのつながりを大切にしています。サステナビリティに配慮した活動をされている生産者のストーリーを、レストランの店舗に食べに来られる消費者/生活者の方々に伝える啓発活動は、サステナビリティの切り口でその店舗が選ばれるためにも、とても重要なことだと考えています。
2023年5月8日(月)にSRA-Japan加盟店のザ・キャピトルホテル東急の「オールディダイニング ORIGAMI」「中国料理 星ヶ岡」「FARO」の方々とともに、千葉県船橋市にある瞬〆すずきの海光物産さんを訪問し、漁業に関するサステナビリティについて理解を深めました。
船橋の漁港の近くにある船橋市漁業協同組合の2階で、海光物産の社長で漁船「大傳丸」代表で漁師でもある大野さんからご説明いただきました。
人口64.6万人の船橋市において、1次産業従事者0.1%、うち漁業従事者は0.017%で極めて少ない状況。船橋は昔から築地が近いので420年前から江戸前として親しまれてきました。そして現在、今後の漁業の100年を考えた「100年漁業継続プロジェクト」を推進されているとのことです。
大野さんは「必要以上に漁獲され安く売られる魚をスーパーで見て、『これでは獲りすぎで魚がいなくなってしまう』」と危機感を募らせてきたといいます。
海光物産さんでは、現在の東京湾の水産資源を守り、未来につなげるために資源管理を徹底。産卵を迎えるメスについては、漁獲された網の中から選別して傷つけないように海へ放流しています。通常捕獲されたお魚は、そのまま売ればお金になるので、普通の漁師は短期的な視点から少しでもお金にすることを考えてしまうようですが、海光物産では将来を見据え、産卵を控えるメスを海へ戻すことはとても重要なこととして実践しています。
他の漁業関係者にも真似をして欲しいけれども、なかなかそのようになっていない実情もお話いただきました。
このように海からの恵みであるお魚の1匹1匹を大事に扱い、適正な価格で売るべきとし、魚を獲りすぎなくても事業が成り立つ努力をすること、そしてきちんと海洋資源を保護して、東京湾の恵みを未来につなげていくことを考えていらっしゃいます。
海光物産としては、「瞬〆すずき」のブランド化をすすめ、東京湾の海の恵みを未来につなげるために次の3つに取り組んでいます。
1.高鮮度の江戸前鮮魚を提供する
江戸前鮮魚のみに執着し、水揚げから出荷まで徹底した鮮度管理を行う。
2.魚の価値を引出すことで社会に貢献する
六次化に取り組み、魚が本来持っている価値を最大限に引き出す努力をすることで、魚食普及と食糧自給に貢献する。
3.東京湾の水産資源を次世代に残す
資源管理に立脚し、持続可能な江戸前漁業を実践することで、その伝統、文化を次世代に繋げる。
海光物産は2016年より日本初の「漁業改善プロジェクト」FIP(Fishery Improvement Project)に取り組んでいます。現在は、日本の漁業認証であるマリン・エコラベル・ジャパン(MEL)の認証について取得しています。
漁業協同組合での座学の後には、漁港と加工場についての視察をさせていただきました。
すずきを捕獲するための漁船、海光物産所属の「大傳丸」「中仙丸」を視察。
瞬〆すずきの加工場などを視察しました。
瞬〆されたすずきの細胞はそのまま生き続けているようで、解凍してすぐの段階では、硬直がなく、まるで生きているようにやわらかい状態ということで、使用されるシェフがびっくりされるようです。
納入に使用される容器は、100%バイオマス由来で、海水中でも生分解されるというもの。価格は少し高いが海洋プラスチック問題が深刻化している現状において、地球環境により配慮して使用しているといいます。
今回の視察に際し、海光物産の大野社長、宗形さんをはじめ関係者の皆様のご準備、ご対応に心より感謝申し上げます。またこの度お取次ぎをいただいたUMITO Partners様にも深くお礼申し上げます。
SRA-Japanでは、FOOD MADE GOODのフレームワークに則り、今回の「サステナブルシーフード」を考える機会のようにサステナビリティの理解を深めるための活動として、これからも様々な視察を行ってまいります。
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