この記事は英国SRAのニュースを翻訳し抜粋したものです。

 

2021年11月、英国の28の主要企業が集まり、2025年までに英国のサプライチェーンから森林破壊に加担している大豆を除外していくことに合意。「英国大豆マニフェスト」に署名しました。

署名企業には、Nando’sやケンタッキー・フライド・チキン(KFC)などの主要な英国のレストランでチェーンを展開する企業、またすべての主要なスーパーマーケット、食肉生産者が含まれており、これらの企業の大豆の仕入額の合計は、毎年約200万トンにのぼり、英国の総消費量の半分以上(60%近く)を占めます。

IPCCによる2019年の気候変動に関する特別報告書で、世界の人為的な温室効果ガスの排出量の4分の1(23%)は農業、林業、その他の土地利用によるものであり、これらの排出量のほとんどは森林破壊が原因であることが報告されています。英国の大豆消費量(2020年には350万トン)は、世界的には少ないものの、南米のカンポ・セハード、大西洋岸森林、グランチャコ、チキトスなどの自然豊かな大平原などの生物多様性に負担をかけています。2017年に英国で大豆が消費された結果、推定3,081ヘクタールの森林破壊が発生しました。これは、ロンドン市の2倍の面積です。しかし、本来このような森林破壊をする必要はありません。大豆のような作物は、新たに森林を開拓することなく栽培することができます。

英国企業は、この「英国大豆マニュフェスト」の前の数年間、森林と生態系を保護するためのアクションを行ってきました。持続可能な大豆に関する英国円卓会議を通じて、企業はサプライチェーン全体で大豆に関する透明性の確保と情報共有の体制を改善し、大豆の持続可能な生産をサポートするための認証の使用を大幅に増やしました(2018年は15%の輸入量に対して2020年には32%に増加)。ただし、より大きな変革を行うにはマーケットソリューションが必要であり、サプライチェーンに関わる企業全体が協力して行動する必要があります。

この変革を支援するために、「英国大豆マニフェスト」の署名企業は、森林破壊と大豆の農地転換を生み出さない強固なコミットメントを設定し、直接、自社のサプライヤーに対しても同様のコミットメントを求めていきます。

KFC UK&IのマネージングディレクターであるPaula MacKenzieは、次のように述べています。
「サプライチェーンを管理するのは私たちの責任ですが、流通と規模が複雑であるため、持続可能な大豆に移行するには、私たちの影響力だけでは不十分です。食品業界全体のコレクティブ・アクションが必要です。」

重要なのは、「英国大豆マニフェスト」のコミットメントが企業のサプライヤーとの契約上の義務として含まれ、サプライヤーが目標を達成できるようにサポートをしていくことです。署名企業は、英国に輸入する大豆が森林破壊や農地転換に加担していないことを確認するために、これらの進捗状況について毎年報告するとともに、英国全体においてレポートを改善していきます。

「英国大豆マニフェスト」は、パズルのほんの一部に過ぎません。このマニフェストは「フランス大豆マニフェスト」などの同様のイニシアチブと連携して構築されており、ヨーロッパ全体の業界におけるニーズと行動計画が増えていることを示唆しています。また、ブラジルなどの生産国で持続可能な生産を促進するための資金的なインセンティブと技術的支援を提供するためにグローバル市場への要求もあります。英国の業界は、「森林と土地利用に関するグラスゴー首脳宣言」と、「森林、農業、コモディティ貿易(FACT)対話」共同声明とロードマップを通じて、森林や他の重要な生態系を保護しながら、持続可能な開発と貿易を促進するという、COP26で発表されたコミットメントを歓迎しています。

 

▼「英国大豆マニフェスト」の詳細はこちらから
https://www.uksoymanifesto.uk/