この度、カリフォルニアHealdsburgのレストラン「SINGLETHREAD」が、記念すべき第1回North America’s 50 Best Restaurantsにおける「Sustainable Restaurant Award」の受賞者に選出されたことを、喜んでお知らせします。授賞式は昨夜、ラスベガスのWynn Las Vegasで開催されました。

「土地との調和」を理念に掲げるSINGLETHREAD。その運営の中心は、24エーカーの自社農園です。ここで厨房で使われる食材の大半を生産しています。サステナビリティ(持続可能性)は彼らの哲学の核であり、農園とレストランの双方で、環境再生型農業、倫理的な食材調達、循環型の実践、そして季節や土壌の健康、生物多様性への深い敬意が払われています。食材の産地を第一に考え、すべての一皿がその土地の真の味わいを届けています。

この特別なレストランで、サステナビリティが運営の隅々にまで、どのように息づいているのかをご紹介します。

SINGLETHREADの食材調達

SINGLETHREADのメニューは、農園で何が採れるかによって決まります。レストランで使われる食材の約70%は、年間を通してこの農園から供給されています。これにより、最高の鮮度を保ち、フードマイレージ(食料の輸送距離)を最小限に抑えています。同時に、農園チームは食材の生産方法を自ら管理し、堆肥作りや被覆作物の活用、生物多様性の保護を通じて、土壌の健康を丁寧に育んでいます。

農園の外でも、SINGLETHREADは志を同じくする多くの生産者と関係を築いています。例えば、カリフォルニアのアワビ生産者、生態系修復プロジェクトに取り組むウニ漁師、そして動物福祉と再生可能な土地管理を重視し、100%牧草で育てられた伝統品種の和牛を生産するKnights Valley Wagyuなどです。

SINGLETHREADのメニューは、その地域で歴史的、農業的、生態学的に重要な意味を持つ食材を大切にしています。伝統的な品種や希少な作物を使い、日本の食文化から得たインスピレーションをカリフォルニアの食材を通して表現しています。季節によっては、Gravenstein種のリンゴ、Bodega Red種のジャガイモ、Sonoma Coast産の黒タラ、Luna Koshihikari米、California産のプルーンなどが登場します。

SINGLETHREADが考える「社会的なサステナビリティ」

SINGLETHREADは、体系的な研修やメンター制度、長期勤続表彰などを通じて、スタッフの成長を支えています。また、定期的な面談、メンタルヘルスサポートの提供、農園での収穫祭といったチーム全体のイベントを通じて、スタッフの心身の健康(ウェルビーイング)を大切にしています。

地域社会への貢献にも積極的で、Russian RiverkeeperSonoma Family Mealthe Chill Foundationといった団体を支援しています。さらに、Culinary Institute of Americaと協力し、料理芸術分野における無料の修士課程プログラムの設立を支援しました。地元の職人が作る陶器やナイフ、布製品などを積極的に取り入れることで、伝統技術とその担い手の暮らしを守ることにも貢献しています。

SINGLETHREADの環境への取り組み

環境への責任は、SINGLETHREADの運営全体を貫く重要なテーマです。レストラン、宿泊施設、農園はすべてLEED(環境性能評価システム)認証を取得しており、エネルギーと水の効率を重視して設計されています。スマートシステムや自然の力を利用した空調、そして干ばつの多いカリフォルニアでは特に重要な、灌漑用水をすべて井戸水でまかなうなどの工夫が凝らされています。

厨房では資源を無駄なく使うことが徹底されており、食材の切れ端や副産物はすべて堆肥にするか、レストランや農園で再利用されます。例えば、果物の種や皮は飲み物の香りづけに、ニンニクや玉ねぎの切れ端は発酵させて自然の害虫忌避剤に生まれ変わります。実際に、チームは過去1年で有機物以外の廃棄物を20%削減し、保存容器を再利用可能なものに切り替えることで、使い捨てプラスチックへの依存を大幅に減らしました。バックヤードでは100%堆肥化可能な紙を使用しており、今後はデジタルメニューシステムを導入して、さらなる紙ごみの削減を目指しています。

この素晴らしい功績を達成されたSINGLETHREADのチームの皆様に、心からお祝いを申し上げます。

【参照サイト】SingleThread Wins North America’s 50 Best Restaurants Sustainability Award