熊本県で発生した地震への支援について(ご報告とご協力のお願い)

熊本県で発生した地震への支援について(ご報告とご協力のお願い)

熊本県で発生した地震により被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

日本サステイナブル・レストラン協会では、地震発生直後から熊本県内の加盟店舗の皆さまと連絡を取り、現地の状況や必要とされている支援について情報を共有しながら、協会として支援活動を進めています。

現在の状況と、協会の取り組みについてご報告するとともに、支援金へのご協力をお願いいたします。

加盟店被災状況

■アンティカ・ロカンダ・ミヤモト(熊本市)

■イルフォルノドーロ(熊本市)

■HERO海はなれ 株式会社HERO’s (熊本市)

熊本県内では、熊本市内の上記3店舗が被災しました。店内が激しく揺れ、酒や食器が割れるなどの被害がありましたが、建物自体の損傷は少なく、熊本市内、熊本県内の他の多くの店舗と同様に、今週から営業を再開しています。 しかしながら、熊本県内の飲食店は営業が再開できる状況であっても、キャンセルが相次いでいる状況とのことです。このままでは、熊本の飲食店が営業を継続するのも難しくなります。復興後も地域に根差し、食文化を守り続けるためにも、現地の飲食店を利用していただければと願います。

職員向け  「後方支援弁当」の提供

熊本県内では、アンティカロカンダ宮本さんをはじめとする料理人の皆さまが、被災者支援や復旧にあたる行政職員、災害派遣職員の皆さまへ食事を届ける「後方支援弁当」の取り組みを行っています。

現在は、断水や物流の停滞により食事を購入できる場所が限られている宇城市にて活動をしています。宇城市役所職員の皆さまも自ら被災しながら昼夜を問わず復旧活動や被災者支援にあたっているにもかかわらず、被災者向けの支援物資を自らの食事として利用することはできないため、現場を支える方々への食事支援が必要となっています。また、そのほかの地域でも要請があれば対応したいと考えています。

*この取り組みは、熊本県「食のみやこシェフズアカデミー」の修了生を中心とした料理人が連携し、栄養バランスに配慮した弁当を提供するものです。

地域の飲食店が調理を担うことで、現場への食事支援と飲食店の営業継続を両立することができます。

実施概要

  • 実施予定期間:2026年8月1日~8月10日
  • 提供予定数:1日100食
  • 弁当代:1食500円
  • 必要経費:約5万円/日
  • 予定期間全体の必要経費:約50万円

支援金募集のお願い

日本サステイナブル・レストラン協会では、職員向け「後方支援」弁当の活動を支えるため、支援金を募集いたします。

支援金の使途:

お寄せいただいた支援金は、現地の状況や活動内容を確認しながら、食材費、調理費、容器代、燃料費、現地での活動費など、日本サステイナブル・レストラン協会の加盟店が行う支援活動に必要な経費として活用いたします。

支援金振込口座

<支援金振込専用口座>

みずほ銀行 恵比寿支店 普通預金
口座番号:1742655
口座名義:一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会

*ご入金の確認を確実にするため、以下の要領でお振込ください。

振込人を「氏名(または団体名)+ご住所の郵便番号」と入力してください。
(例:お名前が下田屋 毅 の場合、「シモタヤタケシ1500022」

下記の支援登録フォームに、連絡先等をお知らせください。
ご記入いただきました連絡先に、支援状況のご報告をさせていただきます。

今後について

現地では、時間の経過とともに必要とされる支援も変化しています。

協会では、熊本県内の加盟店舗や現地で活動する皆さまと継続的に連絡を取りながら、支援の重複や現地の負担が生じないよう配慮し、本当に必要とされる場所へ支援が届くよう取り組んでまいります。

どうぞみなさまの温かいご支援をよろしくお願いいたします。

一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会

代表理事 下田屋 毅

本件に関するお問い合わせ:

一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会 下田屋 / 田中
 contact@foodmadegoodjp (お名前とお電話番号をお知らせください)

地域とのつながりが生み出す価値―ヒカリヤニシの「産地を賞賛する」取り組み

地域とのつながりが生み出す価値―ヒカリヤニシの「産地を賞賛する」取り組み

日本サステイナブル・レストラン協会は、日本の加盟店のすぐれた取り組みを、英国のThe Sustainable Restaurant Association (The SRA) と連携し、The SRAのウエブサイトやソーシャルメディアを通じて、業界のみなさまに共有しています。

2026年7月のテーマは、Celebrate Provenance (産地を賞賛する)について、SRAジャパン加盟店、ヒカリヤニシ(長野県松本市)の、田邊シェフに話を伺いました。インスタグラムでは一部の取り組みのご紹介にとどまったため、こちらで、取材の全文を日本語で紹介します。

ヒカリヤニシでは、地域資源に新たな価値を持たせることと同時に、地域の自然環境との結びつきをより深めることを、念頭において食材の調達を行なっています。
 
1年のうち、わずかな時期しか手に入らない希少な食材は、独自の料理へと仕立てることで、その土地の旬を表すことができます。
料理のラインナップに、確かな土地の個性をもたらす特別な食材は、そうした生産者たちとのつながりがあってこそ手に入るものなのです。
 
その取り組みについて詳しく詳細をご紹介します。

生産者との信頼関係が、料理の価値をつくる

―ヒカリヤニシでは、食材調達において最も大切にしていることは何でしょうか。

「私たちが使う食材のほとんどは長野県内で調達しています。長くお付き合いしている生産者さんが多く、20年近く関係が続いている方もいます。」

そう話すシェフは、「顔が見える関係」であることの大切さを何度も口にします。

取引先には、小規模経営のため有機認証を取得していない農家も少なくありません。しかし、長年築いてきた信頼関係があるからこそ、どのような思いで野菜を育てているのか、畑で何が起きているのかまで理解したうえで食材を仕入れることができるといいます。

「高齢の農家さんの中には、『孫に食べさせたい野菜をつくっている』と話される方もいます。その思いや愛情まで含めて、お客様に届けるのが私たちの役割だと思っています。」

料理には、食材だけでなく、生産者の思いも一緒に盛り込まれています。

レストランから出たものを、もう一度畑へ

―自家農園にも取り組まれているそうですね。

「はい。グループのレストランで使う野菜を育てる農園を運営しています。」

農園では露地栽培で旬の野菜を育てるだけではありません。

レストランから出る食品残渣は堆肥へと生まれ変わり、再び畑へ還される。レストランと農園を循環で結ぶ仕組みを整えることで、廃棄物の削減にもつなげています。

さらに、この農園はスタッフの学びの場でもあるのだそう。

「畑に入って土に触れることで、食材がどのように育つのかを実感できます。料理人にとって、とても大切な経験だと思っています。」

長野だからこそ出会える食材がある

長野県は全国有数の果物の産地として知られています。

「地域の果樹農家さんとのつながりがあるからこそ、一般には流通しない食材を料理に使うことができます。」

例えば、摘果した若い果実や、ワイン用ブドウ・シャルドネの新芽や葉。ブドウの葉は6月のわずか1〜2週間しか収穫できない貴重な食材です。

こうした地域ならではの素材を料理へと昇華できるのも、生産者との信頼関係があってこそだといいます。

間伐材 ― 山の資源を新たな価値へ

松本市を囲む豊かな山々も、食材として活かせるかもしれない。そう考え、ヒカリヤニシでは、この地域全体の価値向上を目指し、身近な資産である「山」に着目。

その発想から生まれたのが、専門家とともに開発したボタニカルドリンクです。

間伐されたカラマツなどの針葉樹や、豊かな水で育つ葉ワサビを使い、最後に炙った針葉樹を液体に浸すことで、森を思わせる香りを引き出しています。

地域資源を活かした新たな価値創出のプロジェクトとして広げたい。— そんな思いが込められています。

ジビエを地域産業として育てたい

長野県では、古くから狩猟文化が根付いています。

猟師と加工事業者が連携し、捕獲後すぐに適切な処理を行うことで、高品質なジビエが地域資源として流通しているそう。

「私たちは店で使うだけではなく、地域全体で積極的にジビエを活用する取り組みをを広げていきたいと考えています。」

そのため、自店だけでなく他の飲食店にも利用を呼びかけ、地域産業としての発展を後押ししています。

地域で育てる鴨― 連携による新たな産業づくり

肉類についても、牛・豚・鶏は信頼できる地元生産者から仕入れています。

さらに近年は、新たな挑戦として地域事業者と連携した鴨の養殖にも取り組んでいます。

「フランス料理に欠かせない鴨を地域で育てられれば、輸入に頼らない持続可能な調達につながります。」

フットプリントの削減と新たな地域産業の創出という視点も、このプロジェクトには込められているのです。

八百屋は、生産者とレストランをつなぐ大切な存在

松本市には、小規模な農家が多いのだそうです。

だからこそ欠かせない存在が、飲食店向けの卸売機能を担う「八百屋」。

「新しい農家さんと取引を始めるときも、八百屋さんが間に入ってくださることで、お互い安心してスタートできます。」

発注量の調整や物流まで支える八百屋の存在は、生産者とレストランを結ぶ重要なパートナーになっています。

ワイン ― 地域の魅力を伝える一杯  

ヒカリヤニシではフランスワインに加え、近年は長野県産ワインにも力を入れている。

県内には約90ものワイナリーがあり、日本を代表するワイン産地の一つです。

「地元の食材には、やはり地元のワインがよく合います。」

料理とワインを通して、生産者や地域の魅力を伝え、地元産品の消費拡大を通じて地域経済の活性化にも貢献したいと考えています。

「産地を賞賛する」ことが、地域の未来につながる

「私はマクロビオティックの『身土不二』という考え方を大切にしています。その土地で、その季節に採れたものを食べることが、人にも環境にも自然なことだと思っています。」

だからこそ、旬を外れた野菜や遠くから運ばれてきた食材ではなく、その土地の恵みを選びます。

「地域で調達するということは、単に近いから選ぶのではありません。農家さんや畜産事業者、加工・流通に携わる方々との信頼関係を築きながら、地域全体で産業を支えていくことだと思っています。」

伝統野菜や地域食材を料理として発信することで、農業や食文化の継承にもつながる。

「産地を賞賛する」ことは食材調達の取り組み方だけではなく、人と人との信頼関係を育み、地域の産業を盛り立て、地域の食文化を未来へつなぐ取り組みです。この姿勢が、ヒカリヤニシの料理と地域の価値の向上に貢献しているのです。

お話を伺ったシェフ

シェフ:田邉 真宏 Masahiro Tanabe

栃木県出身。1975年生まれ。
「エコール・キュリネール・国立」を卒業後渡仏し、一つ星レストランに入店(現二つ星)。
その後、欧州名店を巡り帰国。
「ジェイキュイジーヌトビラ」料理長を経て、現在「ヒカリヤ」の母体である
「明神館」の統括料理長を務める。マクロビオティック・アドバイザー免許を有する。

ヒカリヤニシ
フランス料理
住所 長野県松本市大手4-7-14