2022年「世界のベストレストラン50」サステナブル・レストラン賞 受賞者のサステナブルシーフードに関する取り組みとは?

2022年「世界のベストレストラン50」サステナブル・レストラン賞 受賞者のサステナブルシーフードに関する取り組みとは?

参照:https://www.theworlds50best.com/stories/News/worlds-50-best-restaurants-2022-no-1-geranium-copenhagen.html
https://www.theworlds50best.com/awards/sustainable-restaurant-award

2022年「世界のベストレストラン50」が英国ロンドンで開催されました。今年の1位に選ばれたレストランは、デンマーク、コペンハーゲンにあるラスマス・コフード氏とセーレン・レデット氏のレストラン「Geranium:ゼラニウム」です。「ゼラニウム」は、2022年の1月から肉料理の提供を停止し、バイオダイナミック農法や有機農法による地元野菜や、デンマークやスカンジナビアの海でとれる魚介類を優先して提供していくという決断を下しました。これは、「50 ベスト」の3つの国際ランキングで、肉料理を提供しないレストランが世界のベストレストラン50の1位を獲得した初めてのケースです。

さて、本題ですが、今年の世界のベストレストラン50の サステナブル・レストラン賞を受賞したレストランは、スペインの「Aponiente:アポニエンテ」です。アポ二エンテは、スペインのカディス近郊にある、陽光降り注ぐエル・プエルト・デ・サンタ・マリアの大西洋河口に位置しており、環境に配慮したガストロノミーの代表例として長い間知られてきました。世界的に有名なシェフ、アンヘル・レオン氏が厨房で指揮をとり、さまざまな海の幸をふんだんに使った料理を生み出しています。サステナブルな漁法、湿地帯の管理、水の保全といった強い理念があり、サステナブル・レストラン賞のアンケートで88%という素晴らしいスコアを獲得していることから、このレストランが2022年の「フロール・デ・カーニャ・サステナブル・レストラン賞」を受賞するのも納得です。

「アポニエンテ」は、魚介類を中心とした料理が特徴で、コースには、サバのソブラサーダ、スズキのモルタデラ、フェットチーネに見立てたメルルーサの料理などがあります。「ウォーター・プラネット」と名付けられたテイスティング・メニューは、常に更新され、その日最も新鮮な魚介類が提供されます。珍しいペスカトーレ料理を引き立てるために、野菜、卵、ワインは、同じ志を持つ地元の生産者からだけを調達しています。酪農家も、自分たちの廃棄予定の農作物をヤギの餌にして、サーキュラーエコノミーを実現しています。
レオン氏にとってレストランの食料庫は、他のレストランにあるような普通の食材に限られたものではありません。実際、彼は大西洋からインスピレーションを受け、「海のコメ」(アマモ(甘藻)の総称。コメよりプロテインを50%以上多く含み、また、オメガ6と9を多く含むため、グルテンフリーのスーパーフードとして期待されています)やプランクトンなどの秘密の植物や野菜をストックした、まさに「海の食料庫」と考えています。

どのコースも、食生活や気候に影響を与える海の無限の可能性を示すようにデザインされています。「アポニエンテ」では、10年以上前から、海という偉大な食料庫から生まれる新しい食品やその他の製品を観察し、研究してきました。いつの日か海産物だけで食事を提供することができるようになるかもしれないという夢を抱いているのです。
才能あふれるレオン氏は、さまざまな仕事をこなしています。アポニエンテの厨房に立っていないときは、レストランの研究室で、深刻な絶滅の危機に瀕している忘れ去られた海産物を育てるプロジェクトに取り組んでいます。カディス大学や地元の漁業会社と協力し、絶滅の危機に瀕している海産物の穀物やアマモ(甘藻)など、多くの水生生物を回復させました。
また、カディス市のビーチの清掃活動や、学校での健康的な食事の提唱、パンデミック時には著名なシェフ、ホセ・アンドレス氏の「ワールド・セントラル・キッチン」でのキャンペーンに参加し、市内の貧困者に食事を提供することでも知られています。「アポニエンテ」のチームにとって、サステナビリティは料理だけでなく、生活のあらゆる側面に浸透しています。

「50 ベスト」の「サステナブル・レストラン賞」は、サステイナブル・レストラン協会の評価指標を元に選定されています。ぜひレーティングを通じて、自己評価してみませんか?

 

本質的な「良さ」- 第10回ナショナル・レストラン・アワード サステナビリティ賞 受賞者決定

本質的な「良さ」- 第10回ナショナル・レストラン・アワード サステナビリティ賞 受賞者決定

*この記事は英国SRAのニュースを翻訳し抜粋したものです。

今年で10年目を迎える英国のナショナル・レストラン・アワード(NRA)では、エストレラ・ダム(スペインのビール会社)がスポンサーを務めるサステナビリティ賞の受賞者を審査しています。NRAのサステナビリティ賞に関して、英国のサステナブル・レストラン協会(SRA)も協力しています。

過去10年の受賞者の中には、「The PIG:ザ・ピッグ」、「Grain Store:グレインストア(閉店)」、「Silo:サイロ」など、輝かしい多彩な顔ぶれが揃っています。
過去の受賞者はいずれも、説得力のあるサステナビリティ・ストーリーと、それを裏打ちする信頼性を備えていました。「ザ・ピッグ」は、地元産の農産物、それも自家栽培の農産物を推奨しています。ロンドンのキングスクロス地区にあるブルーノ・ルーベ氏の「グレインストア」は、野菜を主役にしながらも、肉や魚も楽しめるという、まさにプラントベース・フードのパイオニアと呼ぶにふさわしいレストランでした。昨年優勝した「サイロ」は、食品ロスをすることに「NO」を突きつけ、世界中のシェフに食品ロスをゼロにすることが、おいしい料理作りの障壁にならないことを示したことなどから、評価を得ています。

ハードルは高くなっています。2022年の優勝者は誰でしょうか?最終選考に残ったレストランは、過去12ヶ月間にインパクトのある新しい取り組みを導入したレストランです。ここには、本質的かつ包括的なサステナビリティに配慮した、新規オープンのレストランも含まれます。中には、シャンテル・ニコルソンの「Apricity:アプリシティ」、「Field by Fortnums:フォートナムによるフィールド」、そしてカーディフの「Kindle:キンドル」もノミネートされました。この3店舗と、「Where the Light Gets In:WTLGI」、スコットランドの農場レストラン「The Free Company:ザ・フリーカンパニー」を選び、専門家の審査員が各レストランのオーナーやシェフに詳細なインタビューを行い、彼らの新しい取り組みやサステナビリティの信憑性についてさらに深く掘り下げていきました。

このコンペティションは非常に接戦で、5店舗すべてが説得力のあるストーリーとそれを支える信用性を備えていました。しかし、勝者になれるのは一人だけです。食卓の向こう側を見つめ、スタッフ、顧客、サプライヤー、そしてより広いコミュニティを巻き込んで、食糧システムの問題に対する創造的かつ革新的な解決策を見出した「WTLGI」が、他のレストランを抑えて表彰台に上りました。

 

「WTLGI」(Where the Light Gets In)のチームは、レストランの運営、自社農場と屋上の栽培スペース「The Landing:ザ・ランディング」での作業、そして新しいベーカリー「Yellowhammer:イエローハンマー」のオープンに加え、今年から新しい取り組みとして「The Residencies:ザ・レジデンシー」を立ち上げました。

 

レストラン、ベーカリー、栽培スペース「ザ・ランディング」を横断するこの「レジデンシー」は、食と環境、そして経済や社会との関係について、議論や討論を巻き起こすことを目的とした一連のイベントです。このイベントは、食、農業、環境に関する問題を取り上げ、地元のコミュニティ、アーティスト、農家、生産者間のコラボレーションの機会を提供するために企画されています。

これらの「レジデンシー」の中心にあるのは、レストランの厨房から出る端材などを活用し、栽培スペースの「ランディング」や自社のベーカリー、その他のサプライヤーを通じて新しい命を与えることにより、食品ロスを最小限に抑えることの重要性です。

例えば、羊の毛は近年価格が大幅に下落しており、農家の収入源になるどころか、羊毛の生産にコストがかかってしまうため、市場は苦戦しています。そのため、豊富にある英国産の羊毛を使うのではなく、建物の断熱材などに使用する場合はメリノ種で出荷するのが一般的です。
そこで「WTLGI」はレジデンシー(イベント)の一環として、羊の生産者と協力し、羊の毛を糸に紡ぎ、織物の毛にし、レストランから出る生ゴミなどの自然素材を用いて染色する一連のワークショップを開催したのです。
また、「WTLGI」はこの羊毛を使って、冬の間、栽培スペースである「ランディング」の栽培用ベッドを断熱することで、寒さから植物を保護するための巨大なフリースブランケットを作ることに成功しました。

その他にも、「WTLGI」はFOOD MADE GOODに取り組んでいます。

肉:肉は一頭買いし、最後の一切れまで使い切る。

魚:地元の日帰り漁船から直接仕入れる

紅茶:「ランディング」で栽培されたもの

スタッフの福利厚生:週1回のヨガセッション、毎日の朝食、週3日の休日、7週間の休日

プラスチック: 石油由来のラップフィルムを使わず、堆肥化できる再利用可能真空フードシーラーバッグ( 例:Stasher)のみを使用。

お皿:廃棄された骨を使って地元で作られたもの。

サム・バックリィシェフ氏率いる「WTLGI」は、料理だけでなく業界をリードする取り組みをしているという点で、この賞の第10回目の受賞者にふさわしいチームです。来年に向け11人目の受賞者を探すのが楽しみです。

西武グリーンマルシェでの紙パックリサイクル・アクションの実施について

西武グリーンマルシェでの紙パックリサイクル・アクションの実施について

紙パックのリサイクル回収率は現在40%未満。牛乳やジュースなどの飲料容器に使われている1リットルサイズの紙パック6枚分で、トイレットペーパーが1ロール作れるほど上質な素材であるにもかかわらず、その半分以上がリサイクルされていないという状況です。

 

そこで、持続可能なフードシステムの構築を目指す『日本サステイナブル・レストラン協会(SRA-J)』は『全国牛乳容器環境協議会(容環協)』と協働で、7月15日(金)から8月14日(木)の期間中、SRA-J加盟店『PIZZERIA GTALIA DA FILIPPO』のご協力のもと、練馬区石神井公園の近郊に立地する飲食店や地域と連携した紙パックリサイクルの実証実験を行います。

 

この一環として、7月23日(土)に西武グリーンマルシェ会場内で10時から15時までの時間、紙パックのリサイクル回収と、先着100名の方にクイズラリーを実施いたします。

紙パックのリサイクルのメリットとルール

クイズラリーについて(先着100名)

「PLAY! 高架下」プロジェクトイベント会場に掲出されたポスターから クイズの答えを見つけて、西武グリーンマルシェ会場で回答した方に、紙パックリサイクルでできたトイレットペーパーをプレゼントします。

ぜひこの機会に、紙パックリサイクルを一緒に推進しませんか?

紙パックリサイクルの実証実験を実施|兵庫県芦屋市のレポートと、今後の展開について

紙パックリサイクルの実証実験を実施|兵庫県芦屋市のレポートと、今後の展開について

2022年5月18日(水)から6月17日(金)の1ヶ月間、日本サステイナブル・レストラン協会はFOOD MADE GOODの評価項目にもある「リデュース・リユース・

リサイクルの推進」を推進するため、全国牛乳容器環境協議会 と協働で、飲食店や地域と連携した紙パックリサイクルの実証実験を、兵庫県芦屋市で実施いたしました。

 プロジェクト背景

紙パックのリサイクル回収率は現在40%未満。牛乳やジュースなどの飲料容器に使われている1リットルサイズの紙パック6枚分で、トイレットペーパーが1ロール作れるほど上質な素材であるにもかかわらず、その半分以上がリサイクルされていないという状況です。

リサイクルの回収ルートはさまざまですが、家庭などからの使用済み紙パックのうち、約半分はスーパーマーケットなどの店頭回収によるものです。集団回収や市町村回収でもリサイクルが推進されていますが、まだまだ取り組みの余地があるのが現状です。

また、事業系紙パックのリサイクルに関しては個々の事業者に委ねられてしまうこともあり、リサイクルを実施できていないという飲食店も少なくありません。

そこで、兵庫県芦屋市に所在するSRA-J加盟店「ボッテガ・ブルー」と、「BAR 芦屋日記」の企画協力のもと、芦屋市の行政と連携し、全国で初めて飲食店が中心となり紙パックのリサイクル回収を推進するプロジェクトを実施しました。

どんな結果が得られたのか

各拠点から回収された紙パックの枚数は、642枚におよび、トイレットペーパーにして107個分の資源を回収することができました。全国牛乳容器環境協議会からはプロジェクトに対して、紙パックをリサイクルして製造された100個のトイレットペーパーが届けられ、地域市民のために役立てられます。

プロジェクトに企画協力した「ボッテガ・ブルー」からは、

「自分たちの使用量が明確になり、今までゴミとして出していましたが、サステナブルレストランとして紙パックのリサイクル向上に貢献でき、お客様からさまざまな声を聞くことができました。今後も継続したいと思いました」

 といったコメントをいただきました!

 

 

今後の展開について

今回の実証実験をもとに、芦屋市では事業系紙パックのリサイクルに関する今後の推進方法を検討していただく予定です。自治体ごとのSDGsの取り組みが注目される中で、この実証実験が紙パックをはじめ、他の資源においても循環が進むきっかけの一つになることを願います。

また、本企画に賛同いただき、2022年SRA-J加盟店「GITALIA DA FILIPPO」(東京都練馬区)と「ふれんちん」(大阪府東大阪市)の企画協力のもと、地域と連携し紙パックリサイクルの実証実験を行う予定です。

詳細は後日こちらで発表させていただきます。

それぞれの地域で取り組みがどのように広がるか、引き続きご注目ください!