The World’s 50 Best Barsの「Sustainable Bar Award 2025」を受賞したのは?

The World’s 50 Best Barsの「Sustainable Bar Award 2025」を受賞したのは?

The World’s 50 Best Bars(およびその他すべての50 Bestアワードポートフォリオ)のサステナビリティ監査パートナーとして、昨夜香港で発表されたSustainable Bar Award 2025を、「The Cambridge Public House」が受賞したことをご報告いたします。

パリMarais地区に位置するThe Cambridge Public Houseのチームは、高級カクテルバーが持つ質の高いサービスと、近所の居心地の良いパブが持つリラックスしたフレンドリーな雰囲気と融合させることを目指しています。

この独特の雰囲気の裏には、良心的な方法でビジネスを行うという強い意志があります。季節感を大切にし、責任ある調達を行うこと、スタッフの育成や地域社会との関わりに多大な投資をすること、そして環境目標を達成するために具体的な行動を起こすこと。これらの取り組みは、サステナビリティを日々の業務に組み込み、より広い世界に積極的に貢献しているビジネスであることを示しています。彼らがこの賞を受賞するにふさわしい理由を、もう少し詳しく見ていきましょう。

The Cambridge Public Houseにおける持続可能な調達

The Cambridge Public Houseの調達戦略は、明らかにサステナビリティを念頭に置いて策定されています。メニューは季節感を非常に大切にしており、これまでに季節の食材を85%使用した71種類のカクテルを考案してきました。専任のバイヤーを置くことで、サプライヤーの取り組みを評価する能力を強化し、環境や社会への負荷が低い産物を優先的に仕入れることを可能にしています。

アルコール飲料もノンアルコール飲料も生産者から直接購入し、チームは可能な限りまとめ買いをすることで、生産者の生活を支え、輸送に伴う排出ガスを削減しています。仕入れ以外でも、The Cambridge Public Houseはフェスティバルやイベントで生産者を紹介するなど、積極的に支援しています。

The Cambridge Public Houseにおける社会的なサステナビリティ

The Cambridge Public Houseは、チーム、業界、そして地域社会との関わり方について、意識的かつ慎重に取り組んでいます。

従業員は年に4回、能力開発のための面談を受けます。そこでは、マネージャーが業績や目標を確認するだけでなく、個人の成長やウェルビーイング、より広い社会との関わりについても話し合います。また、このパブはウェブサイト「Shaken Leaf」を通じて、ホスピタリティ業界全体をサポートしています。これは、業界のアドバイスやレシピ、インタビューなどを集めた無料のオープンソースで、他の事業者がサステナビリティへの取り組みを進めるのを助け、ポジティブな変化をさらに広げることを目的としています。業界全体のメンタルヘルスの課題に取り組む必要性を認識し、パリ中のバーに依存症に関する啓発資料を作成・配布しました。

ノンアルコールドリンクの提供を増やすこと(今年は25%増加)で、健康的な飲酒文化をサポートしています。ノンアルコールボトルを目立つ場所に配置したり、週替わりの「Cocktail of the Week」としてスポットライトを当てたりするなどの工夫もしています。The Cambridge Public Houseの社会的な影響は、年間収益の1%を地元の慈善団体に寄付する「1%イニシアチブ」を通じて、地域社会にも及んでいます。同時に、チャリティマラソンクラブや、学校でのイベント、慢性疾患を持つ子どもたちのためのクリスマスイベントといった活動を通じて、スタッフが直接地域社会と関わることを奨励しています。

The Cambridge Public Houseの環境への貢献

野心的でありながら達成可能な目標を設定することは、あらゆる環境への取り組みにおいて重要な要素です。The Cambridge Public Houseは、2025年に向けて設定された、エネルギー使用量、顧客一人当たりの炭素排出量、そして廃棄物全体の削減という明確な目標に取り組んでいます。廃棄物管理は中心的な課題であり、2024年には35%の堆肥化を達成し(食品廃棄物の95%、合計約2,000kgを含む)、2025年にはこれを40%に引き上げることを目指しています。

チームは、バーの環境負荷を最小限に抑えるための重要な手段として、創造性を活用しています。食材は複数の工程で余すところなく使い切り、アボカドの種やバニラビーンズ、コーヒーなど、他の事業者から出る廃棄物をカクテルのデザインに取り入れることもよくあります。さらに、堆肥化可能な真空調理用の袋、環境に優しい包装材、メニュー以外の紙の使用をなくすための電子チケット発券機などを通じて、さらなる削減を達成しました。これらの取り組みにより、事業活動における経済的な炭素集約度を22%、カクテルの炭素への影響を21%削減することに成功しています。

【参照サイト】https://thesra.org/news-insights/news/this-years-sustainable-bar-award-at-the-worlds-50-best-bars-goes-to/



North America’s 50 Best RestaurantsにおいてSustainable Restaurant Awardを受賞したのは?

North America’s 50 Best RestaurantsにおいてSustainable Restaurant Awardを受賞したのは?

この度、カリフォルニアHealdsburgのレストラン「SINGLETHREAD」が、記念すべき第1回North America’s 50 Best Restaurantsにおける「Sustainable Restaurant Award」の受賞者に選出されたことを、喜んでお知らせします。授賞式は昨夜、ラスベガスのWynn Las Vegasで開催されました。

「土地との調和」を理念に掲げるSINGLETHREAD。その運営の中心は、24エーカーの自社農園です。ここで厨房で使われる食材の大半を生産しています。サステナビリティ(持続可能性)は彼らの哲学の核であり、農園とレストランの双方で、環境再生型農業、倫理的な食材調達、循環型の実践、そして季節や土壌の健康、生物多様性への深い敬意が払われています。食材の産地を第一に考え、すべての一皿がその土地の真の味わいを届けています。

この特別なレストランで、サステナビリティが運営の隅々にまで、どのように息づいているのかをご紹介します。

SINGLETHREADの食材調達

SINGLETHREADのメニューは、農園で何が採れるかによって決まります。レストランで使われる食材の約70%は、年間を通してこの農園から供給されています。これにより、最高の鮮度を保ち、フードマイレージ(食料の輸送距離)を最小限に抑えています。同時に、農園チームは食材の生産方法を自ら管理し、堆肥作りや被覆作物の活用、生物多様性の保護を通じて、土壌の健康を丁寧に育んでいます。

農園の外でも、SINGLETHREADは志を同じくする多くの生産者と関係を築いています。例えば、カリフォルニアのアワビ生産者、生態系修復プロジェクトに取り組むウニ漁師、そして動物福祉と再生可能な土地管理を重視し、100%牧草で育てられた伝統品種の和牛を生産するKnights Valley Wagyuなどです。

SINGLETHREADのメニューは、その地域で歴史的、農業的、生態学的に重要な意味を持つ食材を大切にしています。伝統的な品種や希少な作物を使い、日本の食文化から得たインスピレーションをカリフォルニアの食材を通して表現しています。季節によっては、Gravenstein種のリンゴ、Bodega Red種のジャガイモ、Sonoma Coast産の黒タラ、Luna Koshihikari米、California産のプルーンなどが登場します。

SINGLETHREADが考える「社会的なサステナビリティ」

SINGLETHREADは、体系的な研修やメンター制度、長期勤続表彰などを通じて、スタッフの成長を支えています。また、定期的な面談、メンタルヘルスサポートの提供、農園での収穫祭といったチーム全体のイベントを通じて、スタッフの心身の健康(ウェルビーイング)を大切にしています。

地域社会への貢献にも積極的で、Russian RiverkeeperSonoma Family Mealthe Chill Foundationといった団体を支援しています。さらに、Culinary Institute of Americaと協力し、料理芸術分野における無料の修士課程プログラムの設立を支援しました。地元の職人が作る陶器やナイフ、布製品などを積極的に取り入れることで、伝統技術とその担い手の暮らしを守ることにも貢献しています。

SINGLETHREADの環境への取り組み

環境への責任は、SINGLETHREADの運営全体を貫く重要なテーマです。レストラン、宿泊施設、農園はすべてLEED(環境性能評価システム)認証を取得しており、エネルギーと水の効率を重視して設計されています。スマートシステムや自然の力を利用した空調、そして干ばつの多いカリフォルニアでは特に重要な、灌漑用水をすべて井戸水でまかなうなどの工夫が凝らされています。

厨房では資源を無駄なく使うことが徹底されており、食材の切れ端や副産物はすべて堆肥にするか、レストランや農園で再利用されます。例えば、果物の種や皮は飲み物の香りづけに、ニンニクや玉ねぎの切れ端は発酵させて自然の害虫忌避剤に生まれ変わります。実際に、チームは過去1年で有機物以外の廃棄物を20%削減し、保存容器を再利用可能なものに切り替えることで、使い捨てプラスチックへの依存を大幅に減らしました。バックヤードでは100%堆肥化可能な紙を使用しており、今後はデジタルメニューシステムを導入して、さらなる紙ごみの削減を目指しています。

この素晴らしい功績を達成されたSINGLETHREADのチームの皆様に、心からお祝いを申し上げます。

【参照サイト】SingleThread Wins North America’s 50 Best Restaurants Sustainability Award

最新のEAT-Lancetレポートから、ホスピタリティ業界が学べること

最新のEAT-Lancetレポートから、ホスピタリティ業界が学べること

食の「健康、持続可能性、公正さ」を考えるEAT–Lancet Commissionが、画期的な第2次報告書を発表しました。ここでは、ホスピタリティ業界にとって重要なポイントを解説します。

本日、SwedenStockholmで開催されたEAT Forumにて、EAT–Lancet Commissionが第2次となる画期的な報告書を発表しました。この報告書は、6大陸70名以上の専門家による厳密な科学研究に基づいており、前回の内容をさらに発展させたものです。すべての人に健康的で栄養価の高い食事を提供し、かつ気候目標の達成にも貢献する、より良く、より公正な食料システムをいかにして構築できるか、最新の提言が盛り込まれています。

報告書は、健康、気候、生物多様性、そして「公正さ」の観点から食料システムに関する新たな証拠を検証し、「Planetary Health Diet(地球と人の健康を考えた食事)」を更新。文化に合わせて調整可能で、植物性食品が豊かな食事が、いかに人々と地球の両方に利益をもたらすかを示しています。委員会によると、世界的に食生活を計画的に転換することで、年間約1500万人の早すぎる死を防ぎ、食料システムからの年間温室効果ガス排出量を半分以上削減できる可能性があるとのことです。

Potsdam Institute for Climate Impact Research所長で委員会の共同議長を務めるJohan Rockström氏は、「この報告書は、健康と気候に関する最新科学を結びつけることで、私たちの食事が何百万人もの命を救い、何十億トンもの排出ガスを削減し、生物多様性の損失を食い止め、より公正な食料システムを創造できる可能性を示しています。今や私たちには、食料システムの世界的な指針があり、政策立案者、企業、そして市民が共に行動するための基準が示されました。証拠は明らかです。食料システムの変革は、可能なだけでなく、すべての人にとって安全で公正、かつ持続可能な未来を確保するために不可欠なのです」と語りました。

食の「公正さ」をテーブルに

今回の報告書で特に重要なのは、食料システムにおける「公正さ」への焦点が強まった点です。Lancaster Universityの環境社会科学者、Christina C. Hicks教授が指摘したように、これまで食料システムにおける人権の基準は、信じられないほど低いものでした。驚くべきことに、食料システムで働く人々の3分の1は、生活に必要な賃金すら得られていません。その一方で、最も裕福な30%の人々が、食に関連する環境負荷の70%以上を生み出しています。世界全体では十分なカロリーが生産されているにもかかわらず、10億人以上が栄養不足に苦しんでいます。

報告書は、より公正な食料システムを築くことが、健康や社会の発展に不可欠であると示しています。食料システムを持続可能なものにするためには、資源、利益、そしてコストをより公平に分配する必要があります。これには、人々が食料を得る権利、尊厳ある労働(ディーセント・ワーク)、そして健康的な環境を享受できるような社会基盤の整備も含まれます。

真に効果的な変革のためには、社会的な基盤と地球環境の限界の両方を考慮し、すべての人にとって安全で公正な未来を創造しなければなりません。委員会の共同議長で、CGIARShakuntala Haraksingh Thilsted氏は、「食は、人の幸福と地球の健康、その両方の中心にあります。今、私たちの食料を生産・加工する多くの人々が、不当に低い賃金で働き、基本的な保護から取り残されています。その一方で、環境や健康への負担は、最も弱い立場の人々に重くのしかかっています。私たちの調査結果は、変革が単に十分なカロリーを生産するだけでは不十分であることを明確にしています。すべての人に、食料への権利、公正な労働、そして健康的な環境を保証しなければなりません。利益と負担をより公平に分かち合って初めて、食料システムを地球の限界内に収め、誰もが豊かに生きられる、安全で公正な社会を築くことができるのです」と述べました。

Planetary Health Diet」とは?

2025年委員会は、既存のデータを基に、「Planetary Health Diet」の有効性を裏付ける証拠をさらに強化しました。この食事法は、十分な栄養を確保し、健康を最大限にサポートするもので、様々な文化や環境に適応可能です。植物性食品を中心とし、動物性食品は適量に抑え、砂糖や飽和脂肪、塩分は控えめにすることを推奨しています。この食事法が世界に広まれば、現在の多くの食生活が環境に与える負荷を低減できるという確かな証拠があります。

Harvard T.H. Chan School of Public HealthWalter C. Willett教授は、「委員会の調査結果は、この食事法が人と地球の両方にとって有益であることを改めて示しています。全粒穀物、果物、野菜、ナッツ、豆類の生産と消費を増やすことで、地域の文化や伝統を尊重しながら、世界中の人々の健康を改善できます。しかし、食事は全体像の一部にすぎず、システム全体の変革が必要です」と語ります。

食事は、パズルの一片にすぎない

この研究は、単なる食事の推奨にとどまりません。環境や食料システムで働く人々に害を与えることなく、持続可能な方法で増え続ける人口を養うにはどうすればよいかを探求しています。Cornell UniversityMario Herrero教授は、「食事を変えるだけでは、目標には届きません。食事の変革に加えて、持続可能な農業への転換、そして食品ロスと廃棄物の削減。これらすべてを組み合わせることで、初めて私たちは前進できるのです。これがEAT-Lancetが提唱する『包括的な解決策』です」と説明しました。

最新のデータとモデル分析に基づき、報告書は2050年までに世界人口96億人が、地球環境の限界内で、栄養価が高く公平な食事を摂ることが可能であると示しています。これは、世界の健康状態を改善し、食料と栄養の安全保障を確立し、社会の安定と回復力を高め、食料システムにおける公平性と労働条件の改善に貢献するでしょう。

実行可能な8つの解決策

委員会は、報告書に基づき、以下の8つの解決策を提案しています。

1.伝統的で健康的な食文化を守り、推進する。

2.誰もが健康的な食事を選びやすい、手頃な価格の食環境を作る。

3.炭素を土壌に貯留し、生物の生息地を創出し、水質を改善する持続可能な農業を実践する。

4.手つかずの自然を農地に転換することをやめる。

5.食品ロスと廃棄物を削減する。

6.食料システム全体で、尊厳ある労働条件を確保する。

7.食料システムで働く人々の意見が反映される仕組みを作る。

8.社会的に疎外されがちな人々を認識し、その権利を守る。

これらの解決策は、それぞれ具体的な行動計画によって支えられています。例えば、国の食事ガイドラインに伝統的で健康的な食品を取り入れる、地域の在来種を保護する、食品ロスを削減する、生態系を守るための農業生態学的な手法を改善するなどです。

Walter C. Willett氏は、「私たちが示した8つの解決策は、大規模な変革を実現するための実践的なロードマップです。私たちは世界的な岐路に立っており、政府、企業、市民社会、そして私たち一人ひとりが、人と地球の利益のために食料システムを再構築する役割を担っています」と結論づけました。

ホスピタリティ事業者にできること

これは、ホスピタリティ業界への行動喚起です。Christina C. Hicks教授が述べたように、「公正な食料システムは、権利の問題であると同時に、責任の問題でもあります」。

ホスピタリティ業界の購買力は、生産者に対して「何を、どのように育て、作り、獲ってほしいか」を伝えることで、食料システム全体に変化を促す力を持っています。また、レストランは、消費者の食に対する考え方や選択に大きな影響を与えます。それは、お客様が店でメニューを手にしている時だけでなく、日々の買い物や料理をする時にも及ぶのです。

報告書に示された目標は、誰もが豊かに暮らせる未来のために不可欠であり、ホスピタリティ業界の協力なしには達成できません。つまり、栄養価が高く、持続可能で、そして何よりも「心から美味しい」と感じる料理を提供し、人々が正しい選択をできるよう導くことが求められます。メニューでは、果物、野菜、ナッツ、豆類、全粒穀物を主役に据え、責任を持って生産された肉や乳製品は脇役として少量添える。誰もが公正に扱われ、正当な対価を得られる透明なサプライチェーンを築き、その基準をすべての関係者が守るよう努める。そして、厨房からお客様の皿の上、さらにはサプライチェーン全体で、食品廃棄物を一切許さない姿勢が必要です。

これらは大きな挑戦に思えるかもしれませんが、完璧であることよりも、進歩し続けることが重要です。昨日より今日、今日より明日、少しでも良くなることを目指すのです。SodexoのGlobal Chief Sustainability OfficerであるMouna Daoudi氏は、「特効薬はありません。一つ一つの歩みが大切なのです。小さな一歩の積み重ねが、やがて大きな違いを生みます。サステナビリティは短距離走ではなく、マラソンです。皆さんに伝えたいのは、『決してあきらめないで』ということです」と語りました。

【参照サイト】WHAT HOSPITALITY CAN LEARN FROM THE LATEST EAT-LANCET REPORT

COVID-19 会員レストランの挑戦 第5弾

COVID-19 会員レストランの挑戦 第5弾

COVID-19 会員レストランの挑戦 第5弾

サステナブルを追求する野菜レストラン

外出自粛要請が解かれ、街中に活気が徐々に戻ってきた6月中旬。大阪中津にあるベラポルトでもソーシャルディスタンスを保ちつつも数カ月ぶりの満席となり、お客様と店員の顔に笑顔が戻ってきました。

コロナ禍においては同店も営業自粛を余儀なくされ、非常に困難な状況でしたが、それでも「何かできることはないか」と考え、全従業員を対象に研修を続けてきました。総料理長の稲葉氏は「これを機に料理の基本を学び直し、同店(株式会社KIMIYU Global)の理念である『健康で美味しく安心して食べることができる食の追求』、また『食と自然の循環』について、さらにSDGsについても学びを深めた」と言います。そのおかげで従業員のサステナビリティへの意識がさらに高まり、SDGsバッジをつけたお客様との会話がこれまで以上に弾んだと言います。

同店では、以前から当協会が提唱する「食のサステナビリティ・3つの指針(調達・社会・環境)」の追求をバランスよく行っており、今後はFood Made Goodのプログラムを実施し、さらにより良い食へのあくなき追求を続けていきます。

http://kimiyu.co.jp/concept.html
アフターコロナ、レストランの新しいかたち~FoodMadeGood50から取り組む

アフターコロナ、レストランの新しいかたち~FoodMadeGood50から取り組む

 コロナ禍を経て、私たちの生活はガラリと変わると言われています。「ニューノーマル」という言葉があちこちで見かけるようになり、レストランや食料品店のあり方も変わっていくでしょう。多くのシェフや経営者たちもコロナショックを経験し、料理人として、また食文化を担うプロとして、今までとは何か違う思いを抱えているのではないでしょうか。

…これまで通り少しでも良い食材を少しでも安く手に入れて、心を込めて料理する、それだけでいいのでしょうか?
我々が毎日扱う数々の食品には、サプライチェーンにおける農業や漁業、また流通段階においてさまざまな問題が潜んでいます。農薬、化学肥料、遺伝子組み換え、フードロス、水産資源の枯渇、動物福祉、移民労働者の現代奴隷制の問題、児童労働など。これらを無視して、本当に美味しい料理が作れるのでしょうか。自信を持ってお客様に提供できるでしょうか。

…テイクアウトやデリバリー、透明な仕切りも必要だけど、やはり店内でお客様が肩寄せ合ってワイワイガヤガヤ食事を楽しむ姿、常連のお客様とのデイリーな会話はお金には換算できない価値があります。今後、そうした景色がなくなるのはあまりにも寂しいと思います。ましてや、ソーシャルディスタンスをとったレイアウトでどう売り上げを確保していけばいいのか。断腸の思いで従業員を解雇しなければならない状況に追い込まれ、今後どういう風に持続可能な経営をしていけばいいのか。

人と一緒に食べる喜びが感じられる場所として、人と人が直接交わる場所として、生産者の思いが詰まった地元の食材をその土地の風土を楽しみながら食べられる場所として、飲食店が担ってきた文化的、社会的役割は今後どうなるのか。こうした疑問や不安を抱えている方もいるのではないでしょうか

こうした新しい課題に特効薬はありませんが、ただ一つ言えることは「これまで通りのやり方ではやっていけない」ということだと思います。皆が抱えている不安は「問題の正体がよく分からない」ということではありませんか。
「エコやエシカル、サステナビリティとかいうけれど、それと自分とがどう関係しているのかはっきりしない」、あるいは、「やらなければいけないと分かっているけど、問題が大きすぎて、どこから着手すればいいのか分からない」「一人では手に負えないし、どれだけの価値があるのか分からない」「どうやればいいのか分からない」ということではないでしょうか。

こうした悩みや不安を抱えている飲食店の方々にぜひお試しいただきたいのが、Food Made Good 50(FMG50)です。

このFMG50は英国で開発され、食のサステナビリティを推進するために世界の飲食店・レストランが世界共通のセルフアセスメントとして使用しているツールです。 50の質問に答えるだけで、自分の店舗がどのような状態かがわかります。何ができていて何ができていないのか、不足している部分はどこか、取り組むべきことは何か、といったことが発行される簡易レポートによって理解することができます。こちらは無料でどの団体にもご利用いただけますので、是非ご活用いただければと思います。

また現在、当協会では、コロナ禍で浮上してきた新しい課題や疑問、不安などについて飲食店・レストランのみなさんからの声を集めています。どのような問題があり、今後どのように立ち向かうべきか、コロナ後のレストランの新しいかたちについての思いやアイデア、すでに取り組んでいる内容などがございましたら、下記まで情報をお寄せください。今後、開催を予定しているイベントでみなさまのご意見を参考に、各分野の著名人を交えながら一緒に解を模索していきたいと思います。

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